たとえば人口が10人の世界。5人の男性、5人の女性がいるとします。

人間の生殖能力という観点だけで考えると、年間5人の子どもが生まれることができます。では、男性が4人、女性が6人の場合、あるいは男性が1人、女性が9人だと...?

「なぜ象はジャンプできないのか」「なぜ枝の上で眠る鳥は木から落ちないのか」など、"なんとなく分かるけど説明できないもの"を科学的に分かりやすく説明した書籍を幾つも手掛ける著者、英国出身のMick O’Hare氏。

今回は、彼の著書"Know It All"から「なぜ人間は、だいたい男女比が等しいのか」についてその一部を紹介します。

では、先ほどのクイズに戻って答え合わせ。男性が4人、女性が6人の場合は年間6人の子ども、男性が1人、女性が9人の場合だと9人の子どもが誕生することができます。

要は、年齢や個人的な恋愛事情などすべて無視して人間の生殖能力だけで考える場合、年間の最大出生数は女性の人口次第だということになります。数学者のRonald Fisher氏も、もし女性の人口が多ければ、男性と女性の数が等しいのと比べて、人類はより速く繁殖できるといいます。人類の進化は、人口からは読み取れないことを指摘。

ただし、そこまで効率重視なわけでもないのが人間。

男性が少ない社会では、女性の遺伝子よりも、男性の遺伝子がより色濃く、広く受け継がれることになります。例えば男性の遺伝子のなかに致命的な病気が含まれているとしたら...? どんなに女性の数が多くても、男性の数が少なければ、高い出生率の一方で、生存率が危ぶまれることになります。

男女比がほぼ均等に釣り合うことで、遺伝の多様性が生まれ、人類の歴史が続いている、というのが現在の地球で起きている自然の原理なのです。

言われてみればたしかにその通り。さまざまに情報溢れる時代がゆえ、"知っているつもり"なことをいざ噛み砕いて言葉にするのって、意外と頭を使うのでたまにおすすめです。



引用元:
人類の男女比率、ほぼ同じなのはどうして?(ギズモード・ジャパン)