乳がん検診の時期と頻度をめぐっては長年の議論があるが、1つの勧告が万人に当てはまらないことは、ますますはっきりしてきている

米国がん協会(ACS)が20日発表した新しいマンモグラフィー(乳房X線撮影)の指針ではそれが要点となっている。非営利団体のACSは、女性が健康である限り、45歳から毎年、55歳からは2年ごとにマンモグラフィーを実施するよう強く勧告している。ただACSは40歳でマンモグラフィーを開始したいと希望する人や、55歳以降も毎年検査を希望する人にはその機会が与えられるべきだとしている。

 米医学学会誌(JAMA)に掲載されたACSの指針では、医師が触診で乳房のシコリを調べる臨床的乳がん検診はどの年齢の女性についても勧告していない。

 ACSはこれまですべての女性が40歳からは毎年マンモグラフィーを受診するよう勧告していた。がん管理最高責任者のリチャード・ウェンダー氏は、これまでの勧告はよりシンプルだったが、新しい指針は「女性が乳がん、マンモグラフィーのほか、個人的リスクや、検査の利点や不利益(がんでない人への不必要な検査)をめぐる価値観について学びを深める機会を創り出す」と述べた。

 新しい指針は平均的リスクのある女性を対象としており、その内容は米国予防医学専門委員会(USPSTF)の2009年の勧告に近い。USPSTFの勧告では、女性は50歳以降にマンモグラフィーを2年に一度受診するよう求めていた。ただこの勧告は当時物議を醸した。

 USPSTFは現在はこの勧告を見直している。4月に発表された勧告案では、50〜74歳の女性について2年に1度の検査を勧めている。ただ検査の不利益よりも利点に価値を置く女性は40〜49歳の間に2年に1度の検査を開始してもよいとしている。

 USPSTFの共同副会長のクリステン・ビビンズドミンゴ氏は、一般意見を検討した後に最終的勧告を発表する見通しを示した。また、これについての費用負担をめぐる決定を下すのは議員や保険会社次第だと述べた。

 がん検診が有害となる恐れについては熱く議論されてきた。検診賛成派は早期発見で命拾いすることを強調してきた。マンモグラフィーが広く普及するなか、年間23万件の乳がんの大半は初期の段階で検出されており、生存率は90%以上だ。複数の調査結果では、毎年の検診で死亡リスクは15%から最大40%削減できるとしている。


ただ最近ではマンモグラフィーも間違った警告を出すことが多くなっている。ある大規模調査では、毎年のマンモグラフィーでこの10年に61%の女性が追加の精密検査で少なくとも1回呼び戻されたものの、がんが見つからなかった。こうした女性のうち7〜9%が生体組織診断を行ったが、それでもがんは検出されなかった。さらに、一部の専門家は早期発見のがんすべてが致死的ではないと考える。複数の調査は、初期の乳がんの治療を受けた女性の5〜50%は、悪性でない種類のがんにもかかわらず手術や放射線療法、化学療法を受けていた可能性があることを示唆している。



引用元:
乳がん検査、45歳から毎年・触診勧告せず 米がん協会新指針(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版‎)