産後1週間目の息子。実家へ帰った夜、初めての沐浴はわたしが担当することになった。

新生児は、想像していたよりはるかに小さい。手足は細く、柔らかで頼りない。
頭も小さく、人形のようだ。強く握りしめたら壊れてしまいそうなほど、生まれたての身体は華奢でやさしく、丁寧に扱わないと死んでしまうんじゃないかと思う。

産前用意しておいたベビーバスに、息子の頭を左手で支えながら入れる。
自由に使えるのは右手だけ。シャワーを扱うのも、身体を洗うのも片手だけで行わなくてはならない。

赤ちゃんの肌は絹のように滑らかで、わたしの肌のようにホクロも、痣もついていない。
石けんひとつとっても、低刺激のものでないと肌荒れしてしまうのではないかと少々心配もした。


息子は、ベビーバスの中で目を開いてなんとも言えぬ気持ちのよい顔をしていた。
まるで仏様のように穏やかな顔つき。「あぁ、なんて可愛いのだろう」。

以前友人が「他人の子も可愛いけれど、自分の子は世界で一番可愛いよ。」と、話していたことを思い出す。

やっぱりこの気持ちは特別だ。
こればっかりは、産まれてみないと分からなかったこと。

わたしもすっかり“親バカ”のようだ。



いろんな想いを巡らせていたら、息子の頭を支えていた左手が思いの外、疲れてきてしまった。
身体のサイズとは裏腹に、想像以上に頭は重い。左の手首がもげそうだ。
手を離したら湯船にどぶんと沈んでしまうし、洗うこっちは必死だ。
産後の体力低下で力が出ない。中腰のせいで腰痛もひどい。
手はブルブルするものだから、頭がぐらぐらして、シャワーの水が顔にざぶんとかかってしまった。

「おぎゃーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

泣かれた瞬間から、わたしはパニック!!
「ちゃんと助けてよおおおおおおお!」と、夫に責任転換し、シャウト!!大慌てでバスタオルを用意し、おむつを履かせようとするもアタフタ。

終いに、息子は手をバタバタ動かして、伸びていた爪でシャッと自分の顔を傷つけてしまった。「わーーーーーーーーーーー!」

ますますどうしてあげたら良いのか我を忘れて、号泣。
「ごめんねえ、ごめんねえ」。
沐浴デビュー戦は失敗に終わった。

まだ言葉も分からない息子を抱き上げ謝り続け
「はぁ、こんなにも弱虫だったっけ? わたしは…」
産後、メンタル面がずいぶん変わったな。と不思議に感じていた。


じわじわと迫り来る産後鬱の気配に気づかずに・・・


引用元:
おかっぱちゃんの子育て奮闘日記 vol.7 「これって産後鬱?」(excite)