赤ちゃんがお母さんのおっぱいを気持ち良さそうに吸っている。時には、その小さな手でおっぱいを押さえて、目をつむって一生懸命に吸っているその姿は本当にかわいい。フランスでは、空席が多いバスやメトロのなかで時々こうした光景を目にすることがあり、何ともほのぼのとした気持ちになる。お母さんも赤ちゃんもとても幸せそうで、私まで幸せな気分になる。
てっきりフランスは母乳を重視する国だと思っていたが、意外とそうでもないらしい。フランス国立健康監視研究所の研究によると、1970年代には、まだ生まれて間もない赤ちゃんに母乳をあげている母親は50%以下。この40年でその率は増えているものの、今でもフランスの母乳の授乳期間は伸びていない。母乳の授乳率は、生まれてから1か月未満は約70%と40年前に比べると伸びている。しかし、1か月も過ぎるとその数は半分となり、3か月目には30%くらいになる。6か月で母乳の授乳をやめてしまう母親が多いという。すべて粉ミルクに変えたり、併用したりする人が多いようだ。
世界保健機関の調査では、ノルウェーなどでは6か月たっても母乳を続けている母親が80%以上だといい、フランスはヨーロッパのなかでも母乳の授乳率が少ない国となっている。
その原因はいったい何なのだろうか? 共働きも多いフランスは、出産後すぐに復帰する人もいるが、それが直接の原因ではないという。母乳が出ない、疲れやすい、気分の落ち込みなど、出産後の様々な原因が考えられ、妊娠中から、夫も含めて、母乳育児の準備指導を行うことが授乳率をあげる効果となるかもしれないという。
産婦人科の健診で、日本人のお母さん方の授乳期間を聞かれることがあるが、日本人は長い方ではないだろうか。もちろん、もろもろの事情から母乳でない人もいるし、粉ミルクを併用する人もいる。それでもフランスよりはずっと長く、1年から2年くらいの間だろうか? もちろん普通の食事を食べ始めても、母乳も少し与える、ということが多い気がする。完全離乳するのは1歳半から2歳くらいだろうか?
大概の日本人のお母さん方は恥ずかしそうに「1歳半くらいまで」とか「2歳くらいまであげていました」と言うが、フランス人の産婦人科医は目を輝かせて「ブラボー! フランスは授乳期間が短くなっているので、日本のようにもう少し長くお母さんのおっぱいを吸わせるといいわね」と。
引用元:
赤ちゃんの「おっぱい卒業」、早いフランス (読売新聞)