女性の年齢と出生率の密接な関係はもはや常識。でもまだ一生のパートナーに出会っていない! そんな30代女子こそ知っておきたいのが「卵子凍結」という選択肢。実際のところ妊娠確率はどれくらい? コストは?など、みんなが知りたいホントをピックアップ! 

卵子の凍結に興味あり。 まずどうする?
国によって差はあるが、今の日本では、幅広い女性に門戸が開かれている卵子凍結。とはいえ、ショッピングのように「卵子凍結ひとつ、くださいな」というわけにはいかない。たとえば凍結した卵子を何歳まで保存するのか、その年齢を過ぎたら凍結卵子はどうするのか、といった問題はあらかじめ考えておかねばならない。また、卵子を凍結しておけばいずれ妊娠できる身体なのか、婦人科系の基本的な機能のチェックも必要だろう。卵子凍結や不妊治療を漠然とイメージしている患者のために、無料セミナーや説明会を定期的に開催してくれるクリニックも少なくない。まずはそういったところに足を運んで、基礎知識を身につけるところからスタートして。
お話を伺ったのは……

中村はるね先生
はるねクリニック銀座院長。不妊治療の第一人者的存在。セミナーやカウンセリングにも力を入れている。2015 年よりクリニックで卵子凍結を開始する予定。

小川奈津希先生
はるねクリニック銀座勤務。中村先生とともに、卵子凍結のセミナー、啓蒙活動を今後行っていく予定。今秋、自身も卵子凍結を計画中。

ドリュー・トルトリエロ先生
全米9 カ所にて、不妊治療を行っているシェアファティリティにて、内分泌と産婦人科を専門とする。6 年連続、患者が投票するトップドクターにも選ばれている。

卵子凍結で、妊娠する可能性はどのくらい?
卵子凍結した場合の妊娠率は、卵子を何歳で採取したのかによってかなりの幅がある。34歳以下で採取した凍結卵子による妊娠率は、10〜15% 程度というのがひとつの目安だ。20代の自然妊娠率が25〜30%であることを考えれば、十分リアリティある数字だ。1 個の卵子凍結で妊娠するのは難しいが、ある程度の個数を凍結しておけばかなりの確率で妊娠することが可能だ。ただし、卵子を採取する年齢が上がると妊娠率は下がるし、40 歳を超えると採取できる卵子の数は少なく、クオリティも落ちてしまうという現実が。20代、30代前半では卵子老化にピンとこないという声も少なくないが、卵子採取時の年齢が若いほうが、将来の妊娠の可能性がより高まるという事実はお忘れなく。

凍結に適した 年齢やデッドラインは?
卵子の状態を考えれば、凍結するときの年齢は若いほどいいもの。とはいえ働き始めた20代ではあまり現実的ではないが、「あまり焦らずとも、30代前半であれば状態のいい卵子を採取することはできます。30代後半になるとその数やクオリティが落ちてきますが、無理ではありません」(中村先生)。日本生殖医学会のガイドラインでは、「採取時の年齢は39歳以下、それを使用するのは44歳以下」を推奨している。とはいえ、「卵子凍結が不可能な人の基準を、医師の側が押しつけることはできない」(トルトリエロ先生)ため、クリニックによって幅があるのが現状。ライフプランや予算によってもできることが変わるので、信頼して話し合える医師のもとで行うのがポイントだ。

気になるお値段、どのくらいと考えればいい?
大きく分けると@採卵A卵子保存、の2つに費用が発生する。1 回の採卵は10〜15万円程度だが、卵子を成熟させ排卵を促すプロセスには30万〜80万円程度かかる。Aは卵子を凍結して保存するための費用で、1 年単位で支払うものがほとんど。卵子5個で年間10万円程度が目安だ。さらに、いざ妊娠したいとなったときは、凍結卵子を人工授精させて子宮に戻すための費用も必要(このプロセスは、両親の収入によって助成あり)。クリニックによっても多少の開きがあるが、それなりの費用がかかると考えておいたほうがよさそう。

卵子採取にかかる期間とスケジュールは?
女性の体内に卵子があるといっても、それをそのまま採取するわけではない。また、自然周期による採卵では1 個の卵子しか採取できないので、卵巣を刺激して卵胞を育て、そこから卵子を採取するのが一般的な方法だ。「うちのクリニックでは生理が始まって3日目にチェックし、問題なければ排卵誘発剤の注射をスタートします。この日から毎日注射が必要になりますが、受診せず自己注射でもOK です。6日目、10日目にもエコーの検査で卵胞の成熟度合いを確認し、14日目に採卵というのが通常のスケジュールです」(中村先生)。多少の違いはあるが、ほとんどのクリニックで1周期に5日の受診が必要。仕事やプライベートの予定をにらみつつ、タイミングを探ることになりそうだ。


引用元:
30代女子必見、卵子凍結の知っておきたい5つのホント。(VOGUE JAPAN‎)