「福山ロス」と言われるほど女性ファンに衝撃的だった福山雅治さんと吹石一恵さんの結婚。職場や家庭で喪失感が広がる中、菅義偉官房長官の「産んで国家に貢献を」との発言が波紋を広げている。ビッグカップルの結婚がなぜ、「出産」に結びつくのか。

 ■同席した尾木氏「違和感はない」

 菅氏の発言は2人の結婚発表から一夜明けた9月29日。フジテレビの午後2時からの生放送の情報番組で、キャスターに「福山さんの結婚、いかがですか」と振られ、こう切り返した。「この結婚を機に、ママさんたちが一緒に子ども産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれればいいなと思っています」

 菅氏とともに番組に出演していた教育評論家の尾木直樹さんによると、菅氏はスタジオのセット近くで出番を待ちながら、番組が流す福山さんの結婚を報じる映像を見ていたという。尾木さんは「字面だけみると、『産めよ増やせよ』と受け取る方もいるかもしれないが、お祝いの雰囲気の中で出た言葉。自分には違和感はなかった」と振り返る。

 菅氏は放送後の記者会見で、「人気の高いビッグカップルで、国民の皆さんが幸せな気分になってくれればいいと思った」と釈明。女性は子どもを産む前提に立っているのではとの問いに、「全くそういう趣旨ではない」と述べた。

 ■「失言は珍しい」官邸内驚きの声

 官邸内からは「不用意な失言は珍しい」(官邸スタッフ)との声が上がる。元々、政権にとって、少子化対策は重要課題の一つ。官邸幹部によると、菅氏は結婚報道の後、「支持者から『彼らと同級生の子どもが産みたい』との声を多数聞いていた」という。政権の最大の課題だった安保関連法が成立したばかりで、ある官邸関係者は「緊張が解けて油断していた部分もあるだろう」と指摘する。

 ただ、芸能リポーターの井上公造さんは「芸能界をご存じないのではないか。福山ファンのママたちはショックで受け入れられず、一緒に産みたいとは思わない」と断言する。芸能界では今年、上戸彩さん、菅野美穂さんらベビーラッシュが続く。「芸能人はスタッフがいて周りが子育てを支える環境が整っている。菅さんは、芸能界を参考に産み育てやすい環境づくりを進めてはどうか」

 元TBSアナウンサーで、広報担当の内閣官房審議官も務めた下村健一さんによると、政権幹部のテレビ出演は印象を上げる好機だが、「想定していない質問で本音が出たのでは。菅さんが語るべきだったのは『ママさんが国家に貢献して』の逆で、『ママさんに国家がどう貢献するか』だったのでは」と話す。


引用元:
福山さん結婚…「産んで国家に貢献を」菅長官発言に波紋(朝日新聞)