精子や卵子の提供、代理出産など第三者が関わる生殖補助医療は、法による統一ルールがないまま社会に広がってきている。
そんな生殖補助医療で生じた親子関係を規定する民法の特例法案の骨子を自民党の合同部会がまとめた。秋の臨時国会への提出を目指すという。法整備の第一歩となることを期待したい。
法案骨子によれば、卵子提供、代理出産では「産んだ女性」が母親となる。精子提供を受けても、夫が父親となる。
精子提供による人工授精は60年以上前から行われ、生まれた子どもは1万人を超えるという。
代理出産で血縁がない女性を母親とすることには、異論もあるかもしれない。
だが、こうした医療で生まれた子どもの法的な立場を安定させるのは大切なことだ。
残された重要な課題は、生殖補助医療のルール作りである。
2003年に厚生労働省科学審議会が報告書を出したが、法案提出には至らなかった。今回、自民党の部会でも議論を重ねたが、まとまらなかった。
日本産科婦人科学会は、一定の範囲で精子提供を認めているが、あくまで自主規制である。
法整備が遅々として進まない中で、一部医療機関が独自のガイドラインを作り、2008年から卵子提供による体外受精に乗り出している。卵子提供者を登録するNPO法人も活動を始めた。
だが、卵子提供や代理出産を希望する夫婦の多くは、海外で治療を受けているのが現状だ。
卵子採取は女性に大きな負担をかけ、合併症も懸念される。代理出産は妊娠と出産に伴うリスクを他人に負わせることになる。
子どもの出自を知る権利の保障という課題も残されている。
法的規制がないまま生殖補助医療が広がる現状は座視できない。命の誕生に人の手が関わることはどこまで許されるか。生命倫理が問われる問題である。
生まれてくる子どもの将来も見据えて国民的な議論を深めたい。
=2015/10/06付 西日本新聞朝刊=
引用元:
生殖補助医療 ルール作りの議論深めよ(西日本新聞)