「下肢静脈瘤」(かしじょうみゃくりゅう)という病気の名前を聞いたことがありますか?

これは、足の静脈の内部にある「逆流防止弁」が壊れて正常に動かなくなり、血流が逆流することで血管が拡張してしまう病気です。

といっても、イメージがわきにくいかもしれませんね……。ただ、ポイントは2つ。「女性が特に注意すべき」病気であり、「足の外見に変化をもたらしてしまう」可能性があるということです。

下肢静脈瘤の治療に精通する「北青山Dクリニック」院長・阿保義久先生のお話をもとに説明していきましょう。



■患者数は1,000万人!?

下肢静脈瘤の総患者数は、外見に変化が出るほどでもない潜在的な患者も含めると、1,000万人を超えると推定されています。つまり、非常に身近な病気ということです。

「下肢静脈瘤は、症状が進むと脚の表面にボコボコと血管が太く浮き出たり膨らんだりしてしまい、足の外見を悪化させることになります。患者数1,000万という数字は、網目状やクモの巣状に膨らむ人、そして弁不全の人までを含めた広い数字で、ボコボコに浮き出てしまう人は、僕の感覚では、そのうち数十万から100万人程度といえるでしょう」(阿保先生)



足にボコボコの膨らみができてしまえば、スカートやショートパンツなどは履きにくくなります。ファッション視点でそういった大きなマイナスがあるだけでなく、うっ血によるだるさや痛み、そして血液循環が悪くなることによって足がつりやすくなるといった症状もあるので、注意が必要です。



■妊娠中の女性は特に注意が必要

では、なぜ女性が特に注意するべきなのか? 阿保先生によれば、下肢静脈瘤に罹る女性と男性の比率はおよそ2対1とのことで、女性の患者数が多いのが事実なのです。その大きな原因が、妊娠・出産、そして月経です。

「妊娠して胎児が大きくなってくると、お腹の血管が圧迫されます。特に大静脈が圧迫されて腹圧も上がってくるので、血液が戻るときの足からの逆向きの圧力が凄くかかってくるんです。

そして、妊娠中は女性ホルモンが恒常的に高いレベルで分泌されるので、それによって血管が柔らかくなり、弁が壊れやすくなってしまいます。これは月経時にも起こることなのですが、妊娠中はこれに物理的に腹圧が上がる傾向も加わるので、静脈瘤が増悪しやすいんですね」(阿保先生)

阿保先生によれば、妊娠末期に症状のピークを迎え、弁が自然に回復することはないので、出産を繰り返すごとに症状が悪くなるリスクがあるそうです。

つまり、これから妊娠・出産を迎える女性は特に、予備知識として下肢静脈瘤について知っておくべきだといえるでしょう。

また、遺伝的要素が強いのも下肢静脈瘤の特徴です。阿保先生によると、「男女問わず非常に家族性が強く、遺伝しやすいと思われます。お母さんから息子の場合もあるし、男兄弟みんな罹ってしまうという場合もあります」とのこと。こちらも、知っておきたい情報です。



■初期症状は?治療環境は?

では、下肢静脈瘤の初期症状はどのようなものが挙げられるのでしょうか?

「肉眼的には、血管が浮き出てきているという症状がまず当然あるでしょう。その他に、弁不全や血流が悪い人は足がつりやすくなります。そして、足が重いとかだるい、疲れやすいといった感覚があれば、下肢静脈瘤の可能性があります」(阿保先生)

見た目に明らかな変化があれば分かりやすいと思われますが、初期の段階で自ら判断するのは難しいでしょう。病院やクリニックに行けば、負担の少ない、痛くないエコー検査で判別できるとのことなので、おかしいと感じたら、まずは病院に行ってみることが必要ですね。

現在では非常に治療しやすくなっており、日帰りで日常生活に支障をきたさず治療を受けることも可能になっています。さらに、2014年からは一部の優れたレーザー治療機種も保険認可となったので、術後の痛みの少ない血管内治療が保険診療で行える状況になっています。

「下肢静脈瘤は急激に悪化する疾患ではありません。いまは医療機関側も積極的に早期治療に取り組む姿勢になっており、また安全に、入院の必要もなく治療を行うことが可能です」(阿保先生)

事前に知識さえもっておけば、焦らずに病気と向き合うことができそうですね。



引用元:
女性がなりやすい「下肢静脈瘤」 妊娠中や月経時は要注意(ライブドアニュース)