遺伝子解析が進歩し、乳がんなどではリスクを高める遺伝子の突然変異について次第に分かってきている。
とはいえまだ根拠不十分で、不確実だと知っておくのが大切であるようだ。
不安を増大させる可能性も
英国とドイツを含む世界規模での研究グループが、有力医学誌であるニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌2015年6月4号で報告しているもの。
研究グループによると、がんのリスクを増大させる遺伝子の突然変異について詳しく分かってきている。これまでに検査では100以上の遺伝子をカバーできるようになっており、21は乳がんのリスクを高めるものとなっている。
最近の研究によると、検査では多くの遺伝的の突然変異については情報が不足していると指摘されるようになっている。検査の内容次第ではかえって不安を増大させる可能性もあり得るという。
遺伝子の突然変異に陽性の結果が出た場合、限られた情報しかないのに、リスクを減らそうと不必要な検査を受ける羽目になる可能性も出ている。
乳がんリスクではまだ道半ば
研究グループは乳がんのリスクを高めると思われている遺伝子を調査。
有名な遺伝子であるBRCA1やBRCA2は乳がんのリスクを高める明確な科学的根拠があると説明。
さらに、RAD51C、RAD51D、BRIP1は卵巣がんのリスクについて明確な科学的根拠が示されているが、乳がんとの関連は不明と示す。
ほかの突然変異のリスク評価は不正確で、さらに研究が必要という。
結果には不確実な要素があると伝えるのが大切と強調する。
文献情報
Easton DF et al. Gene-Panel Sequencing and the Prediction of Breast-Cancer Risk. N Engl J Med. 2015;372:2243-57.
引用元:
不確実だと知っておこう、乳がんと遺伝子の関係はまだ分からない部分多い(Medエッジ )