生後半年までの赤ちゃんに最適な栄養は母乳とされるが、母乳育児がうまくいかず、思い悩む母親もいる。

 困った時に相談できる助産師などの専門家を、妊娠中から見つけておくといい。

 東京都練馬区の会社員女性(32)は今年5月に長女を出産。入院中は貧血のため母乳があまり出ず、粉ミルクを併用した。「退院後は教えてくれる人がいなくて、母乳が出ているのかもよく分からず、困りました」と話す。

 そこで、区の子育て支援施設リストに載っていた「なかま助産所」を訪ね、乳房マッサージや飲ませ方の指導を受けた。8月からは同助産所の週1回の「子育てサロン」にも通う。参加費500円で助産師に気軽に相談できる。

 「最近ようやく授乳のリズムがつかめてきました。今度は娘が哺乳瓶を嫌がるようになり、助言を受けながらいろいろ工夫して飲ませています」

 昭和大江東豊洲病院小児内科教授の水野克己さんによると、母乳には、生後まもない赤ちゃんに必要な免疫物質が含まれている。

 日本では戦後、粉ミルクが普及したが、近年、母乳育児の利点が見直されてきた。厚生労働省の調査では、産後1〜2か月後に母乳だけで育てている人の割合は、2000年の44・8%から、10年には51・6%に上昇した。一方で、母乳が思うように出なかったり、うまく飲ませられなかったりして、悩む母親もいる。

 そうした悩みにつけ込むように、今年7月には、管理状態の不明な「母乳」と称する商品がインターネット上で販売されていることが分かった。厚労省と消費者庁は、それらの商品を飲ませることは感染症や衛生上のリスクがあるとして、注意を呼びかけた。

 水野さんは、「身近に母乳育児の先輩もおらず、誰でも自然に母乳育児ができる時代ではない。母親の気持ちに寄り添い、適切な情報を伝えるガイド役が必要」と指摘する。

 ガイド役の一つとなるのが、出産する施設だ。

 日本助産師会会長の岡本喜代子さんによると、母乳は出産後、赤ちゃんに吸われることで分泌が始まる。そのため、出産直後から母子同室で過ごし、赤ちゃんが泣くたびに吸わせるのが理想だ。出産施設を選ぶ際に、施設の母乳育児の支援内容を確認する。施設を選べない場合でも、「事前に希望を伝えてみてください」と岡本さんは助言する。

 退院後の相談先は、医療機関の「母乳外来」や、地域の助産所がある。母乳育児支援の専門家で作る「日本ラクテーション・コンサルタント協会」理事の大坪三保子さんは、「産後は探す余裕がないので、妊娠中から見つけておくといい」と勧める。

 東京都杉並区や長野県伊那市など、母乳育児の指導を受ける場合に費用を助成する自治体も増えてきた。保健センターなどで無料で相談を受けている自治体もある。

 なかま助産所の助産師、名嘉真(なかま)あけみさんは、「母乳が足りなければ、ミルクを足しながら、無理なく母乳を増やしていく工夫をすればいい。お母さんが自信を持って楽しく子育てするために、相談相手には、自分と相性のいい、安心できる人を選んで」と話す。



 【母乳育児の相談や情報提供をしている主な団体】

 ■日本助産師会

 電話相談 03・3866・3072(毎週火曜10〜16時)

 ホームページ(http://www.midwife.or.jp/)で全国の助産所を紹介

 ■日本ラクテーション・コンサルタント協会

 HP(http://jalc-net.jp/)に母乳育児Q&Aを掲載

 ■ラ・レーチェ・リーグ日本

 母乳育児をする母親グループ。HP(http://www.llljapan.org/)で、妊娠中から参加できる各地の母親の集いの場を紹介



引用元:
母乳育児、安心のガイド役…助産師探しは妊娠中に(読売新聞)