ワクチン接種と副作用の因果関係を解明することが、何より重要だ。



 子宮頸けいがんワクチンの副作用問題で、厚生労働省が、患者の追跡調査結果を有識者検討会に報告した。

 186人が「未回復」の状態と判明し、深刻な副作用が残ることが確認された。これを受け、検討会は、2013年6月以降、控えてきたワクチン接種の勧奨について、再開の見送りを決めた。

 原因が究明されていないことを考えれば、やむを得まい。

 調査では、09年12月のワクチン発売から14年11月までに接種を受けた約338万人の女性のうち、何らかの症状が報告された2584人を追跡調査した。経過が確認できたのは1739人だった。

 副作用報告の割合は、接種が拡大している海外に比べて、格段に高いわけではない。

 しかし、日本では、比較的症状の重い患者が目立つと指摘する専門家が相当数いる。頭痛や倦怠けんたい感、関節痛、認知機能の低下など、症状は様々で、深刻だ。

 主に医師の報告データに基づく今回の調査には限界がある。患者の詳細な診断、治療に加え、接種歴のない同世代女子の体調などとの比較検討も求められる。

 厚労省は、相談窓口を全都道府県に設け、治療などの支援を強化する。滞っていた健康被害救済の審査も本格化させた。

 ワクチン接種のリスクは、ゼロにできない。欧米先進国は、副作用の疑いがあれば、速やかに補償する制度を設けている。救済に長期間を要するようでは、患者たちに不信が増大し、感染症対策に支障を来すためだ。

 日本も救済を急ぎたい。

 国内では子宮頸がん患者が増加し、年間約1万人が発症している。死亡者は約3000人に上る。

 子宮頸がんワクチンは、性交渉により、男性から女性に原因ウイルスが感染するのを防ぐ効果が期待されている。豪州では、男女両方が定期接種の対象だ。

 国内でも現在、勧奨はしていないものの、女性を対象にした定期接種の制度が設けられている。希望者は公的な助成を得られるが、安心して接種を受けられる状況にないのは明らかだろう。

 子宮頸がんの早期発見には、定期検診を受診することが重要である。ただし、予防にはつながらず、日本産科婦人科学会などは接種の意義を訴えている。

 そのためには、ワクチン不信の軽減が大前提だ。厚労省は対応を急がねばならない。

2015年09月24日 03時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

引用元:
子宮頸がん ワクチンの副作用対策を急げ(YOMIURI ONLINE)