今回は、プレコンセプションケアーセンターの宣伝です。
国立成育医療研究センターでは、本年10月よりプレコンセプションケアーセンターを開設します。この外来は、以前からあった女性総合外来を発展させたもので、現在の晩婚・晩産化により、妊娠する前にいろいろな医学的ケアーをしておいた方がよい人が増加してきているために作られた外来です。妊娠してからよりも妊娠前から、内科、婦人科、不妊、不育などの医師が病状に合わせて治療を開始することによって、妊娠後もより安全な妊娠・出産ができると考えています。
妊娠する前に治療を開始しておいた方がよい病気であれば、どんなものでも含まれていると考えてください。気になることがあれば、いつでも相談してください。
プレコンセプションケアーセンターでは、下記にあげた項目について、検査したり治療したりします。
食事・栄養 たばこ アルコール やせ 肥満 基礎体温 こころ・
ライフスタイル
血圧 血糖 甲状腺
腎臓 貧血 骨 呼吸器
抗リン脂質
抗体症候群 膠原病 ウイルス感染・
ワクチン くすり 婦人科・
子宮頸がん 乳がん パートナー
私ども不妊診療科は、基礎体温やライフスタイルに関係した、妊孕性(妊娠しやすさ)について、検査し相談を受ける外来を行う予定です。具体的には卵巣予備能を評価できるAMH(抗ミュラー管ホルモン)を測定し、年齢相当なのか、高いのか、低いのかを評価し、妊娠・出産を早めに計画したほうがよいのか、もう少し待てるのか、医学的見地から相談を受けます。
2014年8月7日にお話したコラム「《10》同じ年齢でも大きく違う卵子の数」にあるように、卵巣にある卵子の数は、人それぞれ、個人差が大きいのです。25歳でも49歳の平均と同じぐらい少ない卵子数しか持っていない方もいれば、44歳でも30歳代半ばの平均と同じ方もいます。
また、20歳代後半から妊娠がかなり厳しい方も現れ始めるので、早めの時期から相談を受けて、本人の妊娠や出産の時期に関して医学的見地からみたアドバイスができればと考えています。
しかし現状は、AMHを測定し、その値に対する相談ができる施設も少ないのが実情だと思います。もし、女性本人が自分の妊娠しやすさの変化を知りたいと考えた時に、相談できる場所を提供しようと考えています。
皆さんも、自分の妊孕性に不安を覚えたら是非相談してください。
引用元:
プレコンセプションケアーセンター(朝日新聞)