精子の頭部内のタンパク質が先端の尖っていて、あたかも「小さな注射器」のように、卵子に針を打ち込むという新しい受精のメカニズムが存在する可能性が浮かび上がっている。
精子の頭にタンパク質
米国のバージニア大学細胞生物学部を中心とした研究グループが、男性医療の国際誌であるアンドロロジー誌で2015年8月26日に報告。同大学が紹介している。
数年前に研究グループは、細い糸を意味する「フィラメント」を形成するタンパク質を発見した。
精子リゾチーム様タンパク質1(SLLP1)と呼ばれるものだ。
このタンパク質は精子の先端にある「先体」の内部に存在すると知られている。一連のタンパク質の仲間となっている。
難破船を探索するように形を調べる
研究グループは、このタンパク質の形状と構造を詳しくこのたび調べている。
具体的には、静止状態のクリスタル内にこのタンパク質を捕らえ、崩壊を防ぐためにこのクリスタルを極低温にまで冷却。さらに、X線を照射して、X線がどのように屈折するのかを調べ、「難破船をソナーで探索するようにタンパク質の形状を計算した」(研究グループ)。
精子の頭で「フィラメント」
試行錯誤の末に、精子タンパク質の正体を突き止めることに成功している。
精子の頭部の精子頭部の前部に豊富に存在する主要タンパク質の一つが結晶になって、フィラメントを形作っていた。研究グループは、この小さな注射器が卵子に打ち込まれて、卵子への侵入を容易にしていると見ている。
現状では仮説の段階であるものの、精子と卵子の関係に新しい視点を提供することになりそうだ。
文献情報
Fertilization discovery: Do sperm wield tiny harpoons?
引用元:
精子が持つ「小さな注射器」、卵子に打ち込む(Medエッジ)