厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は2日、脚の筋肉を使って心臓病を治療する細胞シートの製造・販売を、条件付きで承認する意見をまとめた。

 月内にも承認が決まる見通し。昨年11月に導入された、再生医療製品を早期に承認する制度が初めて適用された。従来5〜8年かかった臨床試験(治験)から承認までの期間が3年半に短縮された。

 承認されるのは医療機器メーカー「テルモ」(東京都)が申請した「ハートシート」。心筋梗塞などで機能が低下した重症の心臓病患者が対象で、年20〜30人の利用が見込まれる。患者の太ももの筋肉細胞を培養して、直径5センチのシート状に加工。患者の心臓に5枚張る手術をする。

 治験では2012年から2年間で患者7人を治療。5人で心機能の悪化が抑えられた。死亡例はなかった。この製品の承認は5年間の期限付きで、その間、約60人の患者を治療し、有効性を確かめる。

 細胞シートで心臓病を治療する手法は、大阪大の澤芳樹教授が開発。澤教授は心臓が大きくなる拡張型心筋症でも治験を始めた。

 一方、製薬会社「JCRファーマ」(兵庫県)が承認申請していた、骨髄移植などで免疫細胞が患者自身の臓器を攻撃する病気を、培養細胞で治療する製品については、条件が付かない通常の承認となった。



引用元:
「細胞シート」承認へ…再生医療を早期承認化(読売新聞)