JA北海道厚生連・遠軽厚生病院(矢吹英彦院長)は10月から、産婦人科常勤医師が不在となることから、分娩などの取り扱いを中止する。ただし毎月第2・第4週の火曜日と水曜日は、旭川医大から医師1人の派遣を受け、妊娠32週までの検診は継続する。妊婦が分娩をする医療機関については、現在のところ本人の希望を受けて他院を紹介しているが、今後は特定の病院への集中を防ぐための病院間調整や救急搬送の詳細決定が必要なことから、北海道・紋別保健所遠軽支所と協議を進めるという。
 同病院の産婦人科は遠紋2次医療圏で唯一、常勤医師3人により分娩の365日24時間受け入れ態勢を整えていた。しかし医師を派遣している旭川医科大学で医局員(医師)が2減となるあおりを受けて、同病院の常勤医師2人が9月末をもって引き上げることとなり、残る常勤医師1人も同時に退職する意向を固めた。これにより10月以降は常勤医師ゼロとなり、再開のめども立っていない。
 同病院の只野敬芳事務部長によると、遠軽・湧別両町長らが首都圏の医大・医大病院等に対しても医師派遣の要請活動を行ったが、実らなかったという。常勤医師派遣の望みは絶たれたが、次善策についての関係機関との調整は続いており、1日には旭川医大と、2日には保健所と協議するという。対応が確定次第、院内掲示や広報などで周知を図る予定。
 遠軽厚生病院ではこれまで、年間約350人の分娩を行ってきた。10月以降、この人数が北見や旭川などの医療機関へ流れることになる。これが少数の医療機関へ集中し、許容量オーバーによりパンクするようなことになれば、周産期医療体制の連鎖崩壊を招く恐れがあり、それを防ぐ対処が求められる。
 広域紋別病院(及川郁雄院長)の産婦人科も常勤医師1人態勢と少ないため、診療は検診と経産婦の正常分娩に限定している。しかし紋別市における年間出生数約120人のうち、初産などを除く40人ほどは対応条件に当てはまると見られる。
 いっぽう紋別市から近隣都市までの距離は、北見と名寄が共に95キロ前後、旭川が約140キロ。北見には遠軽など東紋地域の妊婦が集中すると予想されることから、紋別など西紋地域からは距離が等しく産婦人科常勤医師が5人と充実している名寄市立総合病院を選択するのが、北見一極集中を防ぐ安全策となる。公共交通手段も、興部での乗り継ぎが必要なものの接続がスムーズで、名寄市立総合病院が終点となっている名寄線代替バスを利用でき、紋別・北見間より利便性が高い。暴風雪による通行制限の頻度も、紋別・北見間より紋別・名寄間の方が少ない。


引用元:
分娩の取り扱いは中止へ、遠軽厚生産婦人科問題(北海民友新聞‎)