文部科学省が作製した高校生向け保健教育の副教材で、女性の妊娠のしやすさの年齢による変化を示すグラフ(図<1>)に誤りがあった問題で、差し替え後のグラフ(図<2>)でも、加齢によって低下する性交頻度の影響を除いていないため、女性の肉体的な妊娠しやすさとは大きく異なるグラフとなっていることが1日分かった。

 グラフには性交頻度などの要因を含んでいるという説明はなく専門家は「誤解を招き、引用は不適切だ」と警鐘を鳴らしている。

 副教材が引用元と明記した論文には、さらに原典となる論文があり、その中では年齢別の性交頻度の違いによる影響を除いた仮定のモデルを示し、女性の肉体的な妊娠のしやすさに比較的近い推計グラフ(図<3>)が掲載されている。

 図<3>では「妊娠しやすさ」のピークは25歳で、図<1><2>の22歳より3歳遅く、さらにピーク後の低下もなだらかで、ピーク直後から急激に落ち込む図<1>とは異なっていた。「妊娠しやすさ」は25歳を1とすると40歳でも0・7以上を維持しているが、図<1><2>では半分以下の0・3程度と激減していた。

 図<1><2>はもともと、避妊をしていない既婚女性が、月経周期の1カ月で妊娠する確率を年齢別に示したもの。性交の頻度や異常のない卵子が排卵される確率、精子の運動能力、着床確率など女性だけでなく男性も含めたさまざまな要因が含まれ、女性の肉体的な妊娠しやすさを表すことにはならない。

 しかし、元々の図<1>ではタイトルで「女性の妊娠のしやすさ」と表記。詳しい意味は記載されず、グラフの横に「医学的に、女性にとって妊娠に適した時期は20代であり、30代から徐々に妊娠する力が下がり始め、一般に40歳を過ぎると妊娠は難しくなる」との説明文がつく。

 副教材のグラフは、内閣府が文科省と連携して作製。少子化社会対策大綱の具体化策の目玉の一つだったが、引用元の論文の数値との違いが判明。先月31日に文科省が差し替え内容を決定した。【山田泰蔵】


引用元:
文科省:「女性の妊娠しやすさ」グラフ、訂正後まだ不適切 高校生向け教材(毎日新聞)