このたび、この新しい検査手法で何らかの臨床的行動を促すレベルの遺伝子変異をどの程度検出できるか調べたところ、BRCA1とBRCA2の変異を持たない女性でも他の有害な遺伝子変異を持つ人もいて、その半数以上が、特定のスクリーニングや予防措置を検討する必要があると分かった。

 米国マサチューセッツ総合病院がんセンターを含む研究グループが、有力医学誌のがん分野版であるジャマ(JAMA)オンコロジー誌のオンライン版で2015年8月13日に報告した。

米女優で有名になった遺伝子に限らず

 研究グループによると、遺伝性の乳がんと卵巣がんの遺伝子検査においては、「複数遺伝子パネル検査(multigene panel testing)」が導入されて急速に進展しているという。

 この検査は、一度に複数の突然変異の候補となる遺伝子を調べることができるもの。米国女優アンジェリーナ・ジョリーの乳房切除で有名になった「BRCA1」や「BRCA2」という遺伝子の突然変異に限らず、がんにつながる遺伝子の突然変異は複数あるので、一挙に調べられる。

 研究グループは、BRCA1やBRCA2に的を絞った従来法と比べて、遺伝性のがん遺伝子変異を持つ人が40〜50%多く分かると説明する。

1000人以上で調べた

 複数遺伝子パネル検査では、検査される候補遺伝子はリスクが低〜中等度で、一致した管理ガイドラインがまだ導入されていないという。最近導入されたばかりである場合もある。遺伝子が分かっても、結局、何か対応できる余地があるのか懸念もあるという。

 研究グループは、BRCA1とBRCA2の変異を持たないが遺伝性の乳がんおよび卵巣がんの遺伝子検査を要する女性1000人以上を対象として、複数遺伝子パネル検査を行った。

 約4%(40人)で有害な突然変異が発見され、最も多くが乳がんおよび卵巣がんとリンチ症候群(卵巣がんのリスクを高くする)のリスクが中程度に高まると分かっている遺伝子だった。

半数以上で大きな影響

 さらに、詳しく調べていって、検査結果に応じて対策も取れるようになると分かった。

 突然変異を持っていた40人に加えて、同様な突然変異を持つ女性23人を加えて検討。発見された突然変異の大部分(92%)が本人または家族に見られるがんと関係していると分かった。

 63人中33人(52%)について、関連するがんのスクリーニングや予防措置を検討する必要があると分かったほか、一親等の親族についても、検査が検討されることになった。

 研究グループは、複数遺伝子パネル検査を行うと、従来以上にがんに対する注意の仕方に影響を及ぼすとまとめている。

 がんの予防策の一つとして導入を進める意義も大きいかもしれない。


引用元:
乳がんと卵巣がんに「複数遺伝子パネル検査」が威力、がんを「正しく警戒」できるように(Medエッジ)