出産は、家族にとって最も幸せな出来事と言っても間違いではないでしょう。しかし、幸せな家庭生活を築いていくために、父親となった男性が気をつけるべきことがあります。注意をしないと出産を機に心を病んでしまうこともあるのです。
◆3割のパパがうつに
出産直後の女性の多くが幸せに包まれる一方、お産の数週間後から「マタニティー(母性)ブルー」や「産後うつ」に悩まされる女性が多いことはよく知られています。
一方で父親となった男性の側にも、同様のうつ症状や「パタニティ(父性)ブルー」が現れることがあることが分かりました。
世界16か国を対象にしたアメリカの研究(医学誌ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション/5月18日発表)で、父親になった男性の約10%が、子供の誕生前後にうつ状態になることが判明。これは一般の男性がうつに陥る割合の2倍です。この研究者らは、アメリカ・イギリスなど欧米諸国の約2万8004人について過去の研究を分析し、そのうち夫の約10%が子どもの誕生前後にうつ状態になっていることを発見したのです。
さらに、赤ちゃんの誕生から3〜6か月の父親では、実に30%弱の人にうつの症状が見られたといいます。論文主筆のポールソン氏によれば、アメリカでは家族休暇制度の期間終了と重なる、ことが指摘されています。
研究を行った専門家たちは、男性の産後うつは「広く認識されている現象ではないが、すべての国に共通のもののようだ」と話していて、深い悲しみや疲労、無力感、自殺願望などのうつ症状は、母親と父親の両方に起こり得るとしています。
◆急激な環境の変化
母親のマタニティーブルーや産後うつについては、原因として産後のホルモンバランスや代謝の変化が精神面に影響することがわかっています。
さらに育児によるストレスや睡眠不足、周りの家族や社会の支援不足も要因となりえます。
一方、妻の出産でホルモンなどの肉体的な変化はない男性の産後うつについては、原因を特定するのが難しく、研究者は以下の可能性を指摘しています。
・妻がうつ状態にあること
・人生における役割が変わったという認識(妻が育児に没頭して自分がかまってもらえなくなる点や、性的に不満が募る場合など)
・金銭的な負担
・友人や社会から切り離されること
・睡眠不足
ほかにも、どんな風に赤ちゃんと接していいかわからない不安や、育児に追われる妻にかまってもらえない状態が続くこと、また、女性は妊娠期間中に徐々に子育てへの心の準備をすることができる一方、男性はそうではなく、急激に精神面や環境の変化にさらされることも要因として考えられます。
とりわけ男性の場合、それまでのバリバリ仕事をしていた自分と、育児をする自分の姿とのギャップが精神的な落ち込みにつながることもあります。
さらに、女性は心の悩みや人間関係の問題などを家族や友人などに相談したり話を聞いてもらう傾向がありますが、男性は自分の中に抱え込む傾向が強いことも影響しているようです。
深刻なパタニティブルーを予防するには、妻の出産後に起こる生活環境の変化を事前にしっかりイメージし、妻や家族と十分なコミュニケーションをとっておくことが有効です。
父親に産後うつの症状があると子どもの発達に影響を及ぼす恐れもありますので、可能性があると思われる場合はすみやかに専門医に相談しましょう。
<参考>
引用元:
男性の産後うつ3割。新米パパの「パタニティ・ブルー」って?(Mocosuku Woman)