妊娠中に精神的な病気になった場合には抗うつ薬で治療することにより、赤ちゃんが早産になったり帝王切開になったりする可能性が低くなると分かった。

 必要に応じて医療機関で薬の処方を受ける意味はあるようだ。

妊娠と抗うつ薬の関係を分析

 米国コロンビア大学メイルマン公衆衛生大学院のアラン・ブラウン氏らの研究グループが、精神分野の国際誌アメリカン・ジャーナル・オブ・サイカイアトリー誌において2015年8月4日に報告している。

 研究グループは、妊娠中の女性と抗うつ薬との関連について検証した。1996年から2010年にフィンランドにおいて単胎で生まれた84万5345人を対象として、薬に関するデータ、母親の精神的な病気の経験、母親のそのほかの病気の経験、病院からの情報なども分析した。

早産や帝王切開を減らす

 抗うつ薬は妊娠中のうつと不安の治療に対して最も多く用いられており、フィンランドと米国では妊娠女性の4%から10%が処方を受けていた。妊娠初期または妊娠の30日前に抗うつ薬を購入していた女性は1万2817人で、その59%にあたる9322人は2回から3回処方を受けていた。

 SSRIを含む抗うつ薬は赤ちゃんの早産や帝王切開のリスクを低くするという結果。

 精神的な病気があるが薬を服用していない母親と比べて、妊娠中に抗うつ薬を服用した女性では、早産のリスクは16%、超早産のリスクはおよそ50%低かった。

 精神的な病気があるが薬を服用していない場合、精神的な病気がない、または精神的な病気があって抗うつ薬の処方を受けていた母親と比べて、帝王切開のリスクが26.5%高かった。

 出産中または出産後の出血リスクは、精神的な病気がない母親や抗うつ薬の処方を受けていた母親よりも、精神的な病気があるが薬を服用していない母親の方が高かった。

SSRIは赤ちゃんのリスクを高める

 おなかにいる期間と比べて小さく産まれるリスクは、抗うつ薬の使用の有無で変わらなかったが、一般的な抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は赤ちゃんに呼吸の問題を含めて何らかの問題が起きるリスクを高めた。

 全般的に見るとリスクを減らす効果もあり、赤ちゃんに起こる問題には注意しつつ、妊娠中も必要に応じて薬の処方を受けると良いのだろう。


引用元:
抗うつ薬で早産や帝王切開が減る、精神的な病気で薬を飲んだ妊婦への影響は?(Medエッジ)