抗がん剤を使った化学療法は、80歳以上の乳がんの女性では延命効果が低いと報告されている。

乳がんと結腸がんを比較
 米国テキサス大学の健康科学センターの研究グループが、高齢者の医療についての専門誌であるジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ジェリアトリクス・ソサイエティ誌に2015年7月22日に報告した。

 ほとんどの種類のがんにて高齢者の寿命を延ばすが、乳がんを持つ80才以上の女性に対してはそうではない。化学療法による延命効果は非常に低い。

 研究グループによると、年を重ねて乳がんの死亡危険度に対する化学療法の効果が低下する要因はいくつかある。例えば、腫瘍そのものが化学療法に敏感でなくなる、年齢と共に体が弱くなるため、薬の用量が減る、化学療法ががん細胞に加えて健康な細胞を殺すといったものだ。

 研究グループは過去の治療についてのデータ、公的医療保険のデータに基づいて調査した。

 データベースは1992〜2009年に、転移のないステージ1から、リンパ節への転移が始まった3Aで、薬の効きにくい場合のあるホルモン受容体のない乳がんと診断された1万4440人の女性。さらに、リンパ節に転移のあるステージ3の結腸がんと診断された男性と女性2万6893人の情報を調べている。全ての対象者は65才以上だった。

80歳以上では効果が無い
 乳がんの女性の間で、化学療法によって原因を問わない死亡危険度を65歳から69歳の女性に対して30%、70歳から74歳の女性に対して26%、75歳から79歳の女性に対して24%下げていた。80歳以上の女性に対して、化学療法は死亡危険度を低下させていなかった。

 乳がんの80歳以上の女性に化学療法に加えて、乳がんに効果を持つと知られる抗生物質であるアドリアマイシンとシクロホスファミドを組み合わせた治療を行った場合、死亡危険度を29%低下させた。

結腸がんでは低下は見られず
 乳がんの女性で見られたような化学療法の効果の年齢に伴う低下は、結腸がんで確認できなかった。化学療法は89歳まで結腸がんの患者に対して有効だった。

 従来70歳以上の乳がんで効果的ではないというデータもあったという。今回は、80歳以上となっている。

 年を重ねてからの抗がん剤の治療を考えるヒントにしたい。

文献情報
Older breast cancer patients less likely to benefit from chemo

https://www.uth.edu/media/story.htm?id=fcfafe64-039f-4de7-baaa-4e0e93858256



引用元:
乳がんの抗がん剤、80歳以上だと延命効果が出づらい(Medエッジ)