子宮頸がん予防ワクチンの副反応を訴える患者に対応するために、日本医師会と日本医学会が初めて診療方法をとりまとめました。国は副反応を「心身の反応」とする見解を示していますが、今回作成される手引きには「心の問題とはしない」とする内容が盛り込まれることがわかりました。

 「体調悪いと、ずっとこう横になって・・・」(谷口さん)

 子宮頸がんワクチンの副反応を訴える谷口さん(17)。2011年から12年にかけて3回、子宮頸がんワクチンを接種した後、全身の痛みや失神、けいれんなどを次々と発症しました。

 「薬箱?」(谷口さんの母親)
 「吐き気がずっとさっきから続いている・・・」(谷口さん)

 ところが、診察した医師から言われたのは、想像もしていない言葉でした。
 「(失神して)意識戻らないので救急車を呼んだ。その後の診察で、この子は『精神的なものだから救急車を呼んでもすることがない』と」(谷口さんの母親・谷口鈴加さん)

 谷口さんだけではありません。「NEWS23」がこれまで取材してきたすべての患者が、医師から単なるストレスと言われたり、詐病扱いされるなどと訴えていました。

 その理由の1つと指摘されているのが、副反応についての国の部会の見解です。症状の原因は、ワクチンの成分ではなく「患者の心身の反応」。つまり、痛みや緊張、恐怖、不安などが身体の不調として表出されるものとして、心理的な治療を行うことも重要との見解をまとめているのです。

 ですが、19日に発表される日本医師会と日本医学会が初めて作成した診療の手引きで、次のように明記されていることがわかりました。

 「『心因』という言葉が器質的な病態の存在を全否定し、詐病的あるいは恣意的であると誤解されやすい。『心因』という表現は用いない」

 関係者によりますと、国の部会の心身の反応とするという見解について「適切でない」などと問題視する議論がなされ、作成した委員の全会一致で明記すると決定したということです。

 さらに、痛みだけでなく運動障害、認知機能の異常など、多様な症状を問診する必要があることも盛り込まれました。患者を診察した医師らが研究論文で明らかにしてきた症状です。手引きの作成にかかわった関係者の1人は「ワクチンの成分が副反応を引き起こしていることを否定していない」と話します。

 医師会と医学会は19日、合同の会見で発表し、手引きを全国の医療機関に配布する予定です。(18日21:35)



引用元:
子宮頸がんワクチン、診療手引きに「心の問題としない」 (TBS News i)