母子の健康状態を定期的に確認する「妊婦健康診査」(妊婦健診)について、厚生労働省が昨年4月現在の市区町村の公費負担を全国調査したところ、負担額には3倍以上の差があることが分かった。健診内容についても、国が推奨する全検査項目分を公費負担する自治体は6割にとどまり、自治体間差が大きい現状が浮かんだ。

 妊婦1人当たりの公費負担額は全国平均で9万8834円。最高は北海道初山別村と長野県南牧村の15万円、最低は北海道釧路市と釧路町の4万5000円だった。人口20万人以上の市でみると、最高は大阪府高槻市の12万円で青森市、岐阜市が続いた。最低は相模原市の6万4000円。次いで兵庫県西宮市、姫路市が少なかった。

 都道府県別の平均額では、青森の11万8920円が最高で、次いで岐阜、山口の順。最低は神奈川の6万4319円。次いで愛媛、東京だった。

 健診内容については、国が強く推奨しているB型・C型肝炎や梅毒などの検査項目は94.5%の自治体が公費負担の対象としていたが、子宮頸(けい)がん検査や超音波検査なども含む全推奨項目を負担対象としているのは62.9%にとどまった。

 妊婦健診は妊娠確認後1〜4週間ごとに血圧や尿、血液などの検査を受けるほか、妊娠中の食事や生活上の注意点などの指導や相談も受けられる。

 原則として公的医療保険の適用外のため、1回数千円〜1万数千円かかる費用は全額自己負担。出産まで14回程度受診するのが望ましいとされるが総額10万円以上となることが多い。

 経済的負担の重さから、健診を受けないまま産気づいて医療機関にかかる「飛び込み出産」が問題となっているほか、高齢出産で健康管理がより重要になる妊婦も増えているため、国は市区町村に、地方交付税などで14回程度の健診費用を負担するよう求めている。【山田泰蔵】

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引用元:
妊婦健診:公費負担に地域格差(毎日新聞)