がんの指標として使われるタンパク質である「ケラチン17」は、がんの成長を促す重要な役割を果たしている可能性があると分かった。
皮膚がんを見つけ出す目印
米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院のライアン・P・ホッブス氏らの研究グループが、遺伝学の国際誌であるネイチャー・ジェネティクス誌において2015年7月13日に報告している。
ケラチンは細胞の骨格となるタンパク質の一つで、体の外側の髪や爪などの比較的固い組織に存在している。20種類のケラチンが知られており、それぞれ腫瘍の目印となるマーカーとして使用される。
その中で、ケラチン17はさまざまながんや、急性もしくは慢性の皮膚に影響を与える病気のマーカーとして使用される。
ケラチン17は、「基底細胞がん」や「扁平上皮がん」などの皮膚がんにおいては腫瘍が実際にできる前に出現するため。通常は毛包、手指の爪や分泌腺などに表れ、最も外側の表皮においては検出されない。
これまでの研究で、ケラチン17の量は、乳がん、咽頭がん、肺がん、膵臓がんなどの他のタイプのがんにおいても、がんの進行を調べるために有用であると分かっている。
しかし、このケラチン17は単にがんの指標となっているだけなのか、それとも実際にがんを引き起こすものなのかについては分かっていなかった。
ケラチン17がなければがんの成長が遅く
研究グループはネズミによる動物実験を実施。ヒトパピローマウイルスによって皮膚がんを起こして、ケラチン17の働きについて検証した。
通常のネズミとケラチン17が働かないネズミを比較。ケラチン17が働かないネズミにおいてはがんの成長が遅くなった。炎症反応や免疫反応も、がんが抑えられる方向に反応した。研究グループは人間のがん細胞でも同じような結果が得られた。
遺伝子に働きかける
ケラチン17は、がん細胞の中でも遺伝情報を保っている「核」に働きかけると分かった。がんを促す炎症と免疫反応を調節する遺伝子を刺激する。「Aire」と呼ばれるタンパク質が、皮膚腫瘍細胞の核で一緒に働いて、がん化を促進していた。
がんの開始や成長へと動かす仕組みについてさらに理解していくことで、がんの診断や薬につながると考えられている。
引用元:
がんを成長させるタンパク質に「ケラチン17」を確認、皮膚がんの指標として知られるが(Medエッジ)