生みの親が育てられない赤ちゃんを、養子を望む夫婦に特別養子縁組を前提として里親委託する、いわゆる「赤ちゃん縁組」が全国で広がりつつある。香川県内でも、2014年度から県子ども女性相談センターが取り組み始めた。新生児の置き去りなど深刻な事態を防ぎ、赤ちゃんが安定した親子関係を早く築くための仕組みだ。
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「命のリレー」。同センターの岡悦子所長は赤ちゃん縁組をこう表現する。
特別養子縁組は、親が育てられない6歳未満の子どもと養父母が戸籍上も親子関係を結ぶ制度。中でも、新生児を乳児院を経由せずに直接、養父母に託すのが赤ちゃん縁組と呼ばれる。養父母は不妊治療などを続けても子どもを授からず、養子を望んだ場合が多い。児童相談所による仲介の場合、養子縁組を希望する里親として登録しておく。
約30年前から取り組む愛知県では現在、年間10人程度を委託している。育てられない理由は、▽未成年の学生▽性被害による妊娠―などさまざま。思い悩んだ末、中絶できる時期を過ぎてしまった場合も多い。養父母となる夫婦には事情を伝え、▽子どもの性別や障害を問わない▽縁組成立前に実の親が意思を変えた場合はあきらめる―ことなどを了承してもらう。
香川県内でも、児童相談所に当たる県子ども女性相談センターが昨年度、「妊娠したが育てられない」という女性からの相談をきっかけに新生児の養子縁組を仲介することを決定。自分の手で育てる方法がないかも含めて女性と繰り返し話し合った上で、出産後も「養子に出す」との意思が変わらなかったため、養子縁組を希望する夫婦に託した。
岡所長は「できるだけ早い時期から安定した環境で親の愛情を受けることが、子どもの発育やその後の人生に大きく影響する」と意義を強調。「子どもを育てられない親がいる一方、その子を強く望む夫婦がいる。両者をつなぐ仕組みだ」。
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厚生労働省が補助する研究班によると、2013年度に養子縁組が前提の新生児の里親委託を行った児童相談所は回答全体の2割に当たる44カ所。うち20カ所が10年以降に始めた。消極的な自治体は「実の親が引き取る可能性がある」「生後すぐは障害の有無を判断できない」などが理由だ。
新たに取り組む自治体が増える背景には、赤ちゃんが命を奪われる事件が後を絶たない現状がある。同省によると、全国で12年度に心中以外の虐待で亡くなった子ども51人のうち、0歳児は22人。「生後0日」「0カ月」で亡くなった子は11人と半数に上る。
子どもの生育環境の面も重要だ。全国では親が育てられずに児童相談所が保護した子どものうち、およそ8割が乳児院や児童養護施設などの施設に預けられており、県内でも同様の傾向がある。厚労省は「施設偏重」を見直し、家庭での養育の割合を増やすとの目標を掲げている。
県子ども女性相談センターは「とにかくSOSを出してくれれば、一緒に解決法が考えられる」と呼び掛けている。同センターの女性相談窓口は〈087(835)3211〉。
特別養子縁組 親が育てられない原則6歳未満の子どもと養父母が戸籍上も親子となる制度。6カ月以上の試験期間を経て、家庭裁判所の審判により成立する。法的に実の親との関係は終了する。自治体のほか、民間団体が仲介を行う場合もある。
引用元:
赤ちゃん縁組、香川県内でも/「命のリレー」制度(四国新聞社)