情報社会になった現代では、外的な要因からストレスが増え、うつ病などさまざまな心の病気が表面化してきています。
女性が産後に陥る“産後うつ”もその一つと言えます。昔は“産後うつ”という言葉もそこまで浸透していませんでした。
この産後うつ、実は、妊娠前から「完全母乳で育てたい」と思っている人の中にもかかりやすい人がいることをご存じでしょうか?
今日は、元看護師で妊活カウンセラーでもあり、マタニティケアの講師である筆者が、産後うつになるきっかけと育児ストレスをなくすコツについてお話をしていきます。

■「完母」にこだわる自分が苦しい自分を作っている
数十年前には、母乳よりもミルク!と言われていた時代もありましたが、現在は多くの情報の中で母乳を推奨しています。
産院によっては、完全母乳と言われる“完母”を目指すために、入院中一切ミルクを足すことなく、足りない分は糖水を足して、泣いたら吸わせるといった方針をとっている所もあります。
本来であれば、自然に母乳が出せるのであればそれにこしたことはないのかもしれませんが、母乳が上手く出ない人は母乳の分泌を促していくために、睡眠不足でもがんばって母乳が出るように慣れない抱っこや授乳をがんばります。
ただ、入院中の産院で、
「そんな抱っこじゃ、赤ちゃんが吸いづらいでしょ?」
「家に帰ったら、もっと大変なんだからがんばって!」
横で泣いている赤ちゃんを見ながらそんな言葉をかけられると、ママはどんどん追い詰められてしまいます。
「ごめんね、ちゃんとおっぱいが出してあげられなくて……」
そうやって自分を責めているママの隣で、いっぱいおっぱいが出ているママを見ると、更に自分を責めて苦しくなっていくのです。

■完全母乳でないママは「ママ失格」?
以前、帝王切開の記事『帝王切開は母親失格なの?帝王切開になる原因と「ベストな出産」とは』をお届けしましたが、帝王切開も自ら望んでそうなったのではく、結果として帝王切開になっただけ。
ミルク育児になったとしても、本当は母乳で育てたかったのかもしれません。
でも、“母乳”だからとか“ミルク”だからとか、本当は赤ちゃんにとってそこまで大切なことではないのかもしれません。
昔と比べて核家族化が進み、育児を一人でやっているママも多く、沢山の精神的負担も感じているときに、パパの助けが得られる“ミルク”という手段があっても、いいのではないでしょうか?
ママがなかなか出ない母乳に対し、必死におっぱいマッサージに通い、周りのママと比べて苦しむことで、せっかくの子育てが辛くなってしまっては意味がありません。わが子の子育てを楽しむことを優先することが何より大切です。

■選択肢を広げると「育児の苦しみ」から解放される
実は、ミルクへの移行を考えているママの中には、メンタルの病気があって、薬が母乳へ移行してしまうことへの不安、また、持病の薬の服用での不安をお持ちの方も沢山います。
医師から、「この薬は母乳をあげても大丈夫」と言われても、その不安は拭いきれないまま、自分をどこか責めて社会が推奨する母乳育児との狭間で苦しんでいる人もいるのです。
女性が働く時代になった中、女性の起業家の方も増え、産後数日から仕事復帰する人もいます。
そんな時に、周りに振り回されず、ミルクを利用するということで、ママの育児への負担を減らすという選択肢があってもいいのかもしれません。
また、母乳が出ない自分を責めてばかりではなく、ミルクを足しながらもすくすくと育っていく赤ちゃんを見て、本当に目の前にある幸せを実感してみませんか?
母乳が出ないからと言って、決して“母親失格”だなんて思うことはありません。
あなたは、十分がんばっているので、母乳をあげることだけに固執してもっと大切なことを見失わないようにしてくださいね。

いかがでしたか?
情報があふれている世の中、いろんな意見に左右されることもありますよね。でも、本当はママと赤ちゃんが心から笑顔で笑っている時間こそが、本当の幸せな時間なはず。 そのためにも、育児のこだわりにあなた自身が縛られないようにしてくださいね

引用元:
「完母」にこだわる人ほど産後うつになりやすい!? 育児ストレスからの解放のカギとは(アメーバニュース)