産科・婦人科の「菜の花マタニティクリニック」が27日、伊那市日影のベルシャイン伊那店近くに開業する。市が昨年度創設した産科医の新規開業を支援する補助制度の適用第1号。同クリニックでは年360件の分娩を取り扱うほか、不妊治療にも取り組む方針だ。少子化対策が大きな課題となる中、安心して産み育てる環境の充実に向けて期待されている。

 市健康推進課によると、上伊那地域では現在、出産ができる医療機関は伊那市の伊那中央病院と駒ケ根市にある民間診療所の2施設のみ。産科医の不足で負担が集中する伊那中央病院では2008年度から里帰り出産の受け入れを行っていない。

 このため、市は分娩を取り扱う産科医の市内への開業を促そうと、昨年7月に補助制度を創設。10年以上継続して分娩を扱う医療機関を対象に、施設整備費の5分の1、2000万円を上限に補助する仕組み。同クリニックでは上限の2000万円の補助を受ける見込みだ。

 開業するのは、元飯田市立病院婦人科部長の鈴木昭久さん(44)。現在、駒ケ根市に住む鈴木さんは上伊那地域の産科医療態勢を憂い、少子化対策に熱心で補助制度もある伊那市が「最適地」と判断し、開業を決めた。昨年12月に着工。設計・監理を城取建築設計事務所、施工を窪田建設が請け負った。

 同クリニックでは自由な姿勢で出産できる「フリースタイル分娩」を導入。分娩室にはベッドにもなる広めの分娩台を備えたり、畳の上で出産できる和室を設けた。風呂もあり、リラックスできる環境を整えた。部屋は全て個室(洋室11、和室4)とし、プライバシーに配慮。家族が喜びを分かち合ったり、絆を深めるようにした。

 医師は鈴木さんのほか、非常勤の女性医師が就任。医局の後輩という女性医師は不妊症が専門で、当初、数年後としていた体外受精も半年後をめどに開始する見通しだ。助産師外来も充実。妊婦健診では取り上げられないような妊娠中の悩みや体の不調などの相談に応じる。

 鈴木さんは「補助金を受けたことも踏まえ、この地域の少子化対策に貢献していけるよう取り組んでいきたい」と話していた。



引用元:
社会 : 伊那に産婦人科医院27日開業 市補助制度適用第1号(長野日報)