男性の育児参加を職場の上司らが妨げるパタニティー・ハラスメント(パタハラ)が問題になっている。
防止活動を始める育児団体や自治体が出てきた。
パタニティー(paternity)は英語で父性の意味で、ハラスメント(harassment)は嫌がらせ。パタハラは、男性の育児休業や育児短時間勤務の取得を妨げる行為。降格など不利益な取り扱いをする法律違反や、育児参加を否定するような言動も含む。
関東地方の30歳代の男性は、出退社の時間を自分で決められる職場のため、早朝に出勤して午後4時過ぎに退社し、保育園に2児を迎えに行く。しかし50歳代の元上司は、男性や周囲に「どんな理由があっても、後輩の相談や指導がすぐにできるよう、夜まで職場にいるべきだ」と話した。男性の都合を無視して会議を夕方に設定し、欠席するとしかることもあった。男性は、「毎日『お先に失礼します』というのがストレスで、精神的に苦痛だった」と言う。
こうしたパタハラ被害の経験は、連合が2013年末に行った調査では、子どもがいる働く男性525人のうち11・6%だった。
この男性が被害を相談していたNPO法人全日本育児普及協会(横浜)は、今年度から、「パタハラ対策プロジェクト」に取り組む。専用のホームページ(http://patahara.blogspot.jp/)を開設し、男性の育児休業制度や、被害に遭った場合の対応について解説。被害の報告も受け付けている。
代表の佐藤士文しもんさんは「男性の育児講座を開くなかで、パタハラ被害が多いと感じた。育児は女性がするものという性別役割分担の考え方が、中高年を中心に根強く残っている。企業の人手不足で男性は長時間労働を強いられ、職場に迷惑をかけられないと、『育児をしたい』との声を上げられない」と指摘する。
現在、実態調査を進めており、年内に事例や分析をまとめたガイドブックを作成する。また、企業向けの研修、講演などを行って啓発を強化する。
国は3月に閣議決定した「少子化社会対策大綱」で、「パタハラ防止の取り組みを充実させる」と明記。企業に対する指導も強化する方針だ。
三重県では、昨年から、啓発冊子を県内の中小企業に配布。今年度はパタハラ対策の一環で、中小企業が従業員の家族や子どもが職場を訪問する日を設ける場合に財政支援を行う。神奈川県では今年、企業の人事労務担当者向けに労働関連の法律を解説するセミナーを行っている。
労働問題に詳しい弁護士の岩田整ひとしさんは、「パタハラに遭ったら、会社の総務などの担当部署や労働組合に相談するか、都道府県労働局の雇用均等室に相談してほしい。男性の育児は女性の就業を支える意味もある。国や企業は男性が育児をしやすい環境作りをすべきだ」と話す。
パタハラの事例(全日本育児普及協会の資料から)
<発言編>
・「育児休業なんてとったら出世に響くぞ」
・「男は仕事だ。保育園の送り迎えは奥さんに行ってもらえよ」
・「育児のためにフレックス勤務って、同僚として迷惑だ」
・「育休から復帰したらお前の仕事はないかもよ」
<待遇編>
・保育園の送り迎えがあってノー残業を続けたら降格させられた
・育児のためフレックス勤務をしていたら、担当のプロジェクトを外された
引用元:
男性の育児参加に「嫌がらせ」…職場の「パタハラ」問題に(YOMIURI ONLINE)