子癇前症(妊娠高血圧腎症)は、ときに命に関わる子癇発作につながることがあり、季節によって頻度が違うと言われています。フランスの研究で、夏に始まった妊娠に、また妊娠初期の気温が高いほど重症子癇前症が多かったという結果が出ました。



◆フランスの出産例を調査
この研究は次の対象者について行われました。

2008年から2011年まで、フランスのイブリーヌ地域に住む女性の出産すべてが前向きに登録された。

研究班は、2008年から2011年の間、フランスのある地方に住む女性の出産すべてを記録し、授精から30日後まで、90日後までのそれぞれの期間の気象、またその期間にあたる季節と、その後の重症子癇前症の頻度に関連があるかどうかを調べました。



◆夏に始まった妊娠で多い
調査から次の結果が得られました。

63,633例の単胎妊娠のうち、526例(0.8%)に重症子癇前症が診断された。30日後まで、90日後までのいずれの期間についても、気温または日照の増加は重症子癇前症のリスク増加と関連していた。

重症子癇前症のリスクは、授精が夏だった場合に、冬だった場合と比べて高かった(オッズ比1.53、95%信頼区間1.27-1.85)。

双子などの多胎妊娠ではない6万例あまりの妊娠のうち、重症の子癇前症は0.8%で起こっていました。妊娠初期の気温が高く日照が多いほど重症子癇前症が多く、夏に始まった妊娠では冬に始まった妊娠よりも重症子癇前症が多くなっていました。

研究班は「妊娠初期の気象が重症子癇前症に及ぼす影響を示したこの結果は、子癇前症の原因を理解するための新しい手掛かりとなるかもしれない」と述べています。



重症子癇前症はまれとはいえ、妊娠中は妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群など、特有のリスクがあります。定期的に健康状態をチェックし、気になることがあれば医師に相談することをお勧めします。



◆参照文献
Are Meteorological Conditions within the First Trimester of Pregnancy Associated with the Risk of Severe Pre-Eclampsia?

Paediatr Perinat Epidemiol. 2015 Jul

[PMID: 26053449 ]




引用元:
重症の子癇前症は暑い夏に始まった妊娠で多かった (MEDLEY)