妊娠中は鉄と葉酸が不足しやすく、葉酸不足は二分脊椎などのリスクにつながると言われています。ネパールの出産について調べたところ、母親が妊娠時に鉄と葉酸のサプリメントを飲んでいたとき、子どもの5歳未満での死亡率が小さくなっていました。



◆ネパールの子ども12,891人が対象
研究班は次のデータを対象としました。

Nepal Demographic and Health Surveysの2001年、2006年、2011年のデータをプールして得られた、最近の単胎出産の生産児12,891人の生存情報が利用された。

ネパールで最近生まれた12,891人の子どもについての情報を統計解析し、5歳未満での死亡率と、妊娠時に鉄と葉酸のサプリメントが使われていたかの関連を調べました。



◆サプリ使用で死亡率減少
解析から次の結果が得られました。

出産前の鉄・葉酸サプリメントの使用は、早期新生児死亡率を45%減少させ(調整ハザード比0.55、95%信頼区間0.38-0.79)、総新生児死亡率を42%減少させた(調整ハザード比0.58、95%信頼区間0.39-0.85)。同様に、乳児死亡率は32%、5歳未満の死亡率は48%減少した。

母親が妊娠中に鉄と葉酸のサプリメントを飲んでいた場合に、出産後7日未満、28日未満、1年未満、5年未満のどの期間についても、子どもの死亡率が低くなっていました。



日本では食習慣や環境の違いなどから、この結果が同程度に当てはまるとは限りませんが、鉄と葉酸の補充は多くの研究結果から勧められています。ただし、多く摂取すればするほど効果が増すものではないので、適切な用量については医師と相談することをお勧めします。



◆参照文献
Antenatal Iron-Folic Acid Supplementation Reduces Neonatal and Under-5 Mortality in Nepal.

J Nutr. 2015 Jul 1 [Epub ahead of print]



[PMID: 26136588 ]




引用元:
妊娠中に不足しがちな鉄と葉酸、サプリメントで子どもの死亡率低下 (MEDLEY)