新米パパの育児を応援するガイドブック「父子手帳」を発行する自治体が増えている。妊娠中や出産後の妻の気持ちを解説し、どんなサポートができるのか紹介し、抱っこの仕方やおむつ替えの手順など育児の基本も教える。人口減少に直面する自治体は「イクメンによって子どもが育てやすい家庭が増えれば、最終的に人口増につながるかも」と期待する。 (寺本康弘)
「育児の冊子は、ピンク系の色が多いですが、男性は敬遠してしまいがち。これは手に取りやすいように青色にしました」
大分県こども子育て支援課の鈴木邦彦主幹は、二月に作成した父子手帳「楽しむイクボン」の出来栄えに自信ありげだ。イクボンは「イクメンの本」などの意味から名付けた。
A5判四十二ページ。育児に奮闘する父親のイラストを多用し、「できることから始めればいいのだ」と呼び掛ける。妊娠後の胎児の変化や、赤ちゃんの平均的な月齢ごとの成長を説明。父親としてできること、妻が夫にしてほしいことをヒントとして示す。
冊子は、県内の市町村を通じて母子手帳と一緒に渡しているほか、コンビニや大型商業施設に置き、誰でも自由に手に取れる。
作成のきっかけは、二〇〇六年の総務省の社会生活基本調査。六歳未満の子どもがいる男性の育児や家事などの参加時間は、大分県が一日当たり三十六分で、全国最低(平均五十六分)になった。衝撃を受けた県は、男性の育児支援策に乗り出した。
厚生労働省の調査では、夫の育児へのかかわり度合いが高いほど、第二子出産につながるという結果が出ている。自治体の中には「イクメンの育成=人口増」という青写真も描くところも。
大分県の昨年の年間出生数は、十年前と比べて7・4%減少し、人口増の対策は待ったなしだ。鈴木主幹は「イクメンの育成が、結果的に子どもが増えることにつながればうれしい」。
他にも父子手帳を手掛ける自治体は多いが、読んでもらわなければ効果がないだけに、新米パパにいかに手に取ってもらえるのか工夫を凝らす。
鳥取県は、育児の悩みを描いた四こま漫画三十話を収録。それぞれの悩みについて、解決につながる方法や考え方を紹介する。
さいたま市は、父親ならではの不満や失敗談を多く盛り込み、共感しながら読み進められる内容。岐阜県は、育児で困ったときにどこに相談したらよいのか、行政サービスの案内を掲載した。
各地の父子手帳は、自治体のホームページからダウンロードして、誰でも読むことができる。
◆夫婦で読んでほしい
男性の育児支援に取り組むNPO法人ファザーリング・ジャパン(東京)の顧問で、小崎恭弘大阪教育大准教授(家庭科教育)の話 男性が父親になるための教育プログラムはなく、父子手帳にはそれを補完する役割がある。手帳には男性が父親の自覚を促す効果もある。妻が夫に「読んでおいて」と渡したり、一人で黙々と読んだりするより、夫婦二人で話し合いながら読むのが理想。自分たちの子育てを議論するきっかけにしてほしい。
引用元:
「父子手帳」イクメンの味方 育児の基本を分かりやすく解説(東京新聞)