「日本の産婦人科医療は世界トップレベルなのに知られていない。日本の産婦人科医は欧米の学会には行くのにアジアなど発展途上国の学会では発表しないからで、国際化を進めたい」

 6月20日、日本産科婦人科学会理事長に就任し、女性の健康支援、産婦人科医不足といった従来の課題に加え、学会の国際化についても言及した。アジア・オセアニア産婦人科学会の学会誌の編集担当をしていた経験から、国際化の必要性を強く感じたのだという。

 自らの経験を基に盛り込んだ課題は他にもある。望まない妊娠で、一度も健診を受けない「未受診妊婦」の問題だ。せっかく生まれても、虐待を受けて死亡する子供もいる。学会の診療ガイドラインを作成する中でこの問題に取り組み、母親支援や里親委託などの対策整備の必要を痛感した。

 生まれてきた命を大切にしたいのは、妊娠しても流産や死産をしてしまう不育症の治療に長年取り組み、生まれることがいかに大変かを知っているからだ。不育の原因を探求し続け、たどり着いたのは「テンダー・ラビング・ケア(優しい愛で接する)」。「不安が大きいとストレスで流産してしまう。流産を経験した妊婦の多くはその後、出産している。それを伝えて安心してもらうことを心がけています」

 命の誕生に立ち会い続けて30年以上。患者からの「ありがとう」の言葉が糧になっていることは変わらず、2年間の任期を走り続ける。(道丸摩耶)



引用元:
「アジアでの国際化進めたい」 日本産科婦人科学会の理事長に就任、藤井知行東大教授(58) (産経ニュース)