生理前に、身体や精神に何らかの変化をきたす女性は多いのではないでしょうか。これらは、「月経前症候群」(PMS)といわれており、日本産科婦人科学会によると、「月経開始の3〜10日位前から始まる精神的、身体的症状で月経開始とともに減退ないし消失するもの」と定義されています。最も自覚されている症状は「イライラ」だそうで、周囲の無理解から自己嫌悪に陥る女性も多いのだとか。具体的な症状と、人間関係でどのようなトラブルをきたしているのか、詳しくみてみましょう。

月経前症候群(PMS)にはどんな症状があるの?

 日本産婦人科医会の「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編」によると、月経前症候群の主な症状としては、


●身体的症状
乳房の張り・痛み、肌荒れ・にきび、下腹部のはり、眠気又は不眠、疲労倦怠感、頭痛、腰痛、むくみ、下腹部痛、のぼせなど

●精神的症状
イライラ、怒りっぽい、情緒不安定、憂うつ、落ち着かない、緊張感など

となっています。

 そこで、ゼリア新薬工業株式会社では、20〜40代の女性1200名に対して、「月経前症候群(PMS)が人間関係にもたらす影響」を調査しました。

 「月経前に精神的、身体的症状を感じますか?」という質問に対して、実に85.9%の人が何らかの症状を感じているそうで、最も多い症状は「イライラ」でした。


1位・・・「イライラ」51.3%
2位・・・「怒りっぽくなる」38.5%
3位・・・「乳房のはり・痛み」35.4%
4位・・・「眠気または不眠」34.9%
5位・・・「肌荒れ・ニキビ」33.6%








画像のクリックで拡大表示


 また、月経前症候群が原因で身近な人に八つ当たりをしたことがある人は55.1%、そのうち88.6%の人が自己嫌悪に陥っていることから、PMSが周囲との人間関係や自分自身の精神面に、マイナスな影響を与える傾向があることがうかがえます。

最も信頼する人の無理解は悲しい…

 パートナーとケンカした際に、「生理前なんじゃないの?」という言葉を投げかけられたことがある女性は多いのではないでしょうか。本調査でも、パートナーとのケンカの頻度が増えるという人は、全体の58.0%にのぼっています。







 「月経前、周囲への振る舞い方が私らしくないと感じるか」という質問には、全体の49.5%が「強く感じる」または「まあまあ感じる」と回答。

 実際に「生理前だから仕方ない」と思ってフォローしてくれるパートナーがどれだけいるかはわかりませんが、女性の方は、深層心理で「気持ちを受け止めてくれる」という特別な信頼感があるからこそ、態度に出てしまうのかもしれません。

職場での影響

 では一歩社会に出て、職場での人間関係にはどのような影響はあるのでしょうか。「月経前症候群(PMS)が原因で同僚や部下に八つ当たりをしたことがありますか」という問いに、「はい」と答えたのは全体の12.8%でした。パートナーに対する態度よりも少し抑制がきいていますね。

 しかし一方で、職場で周囲の人(上司、同僚、部下)のPMSによる機嫌の変化を感じたことがある、という人は33.3%にのぼっています。

 仕事上のトラブルは、以下のようです。


ミスが多くなる/集中できずトイレに閉じこもる/口論が多くなる/体調が悪く仕事がおろそかになる/八つ当たりし相手にされなくなる/暴言を吐く/休職した/責任のなすりつけ/被害妄想/イライラしてお客様と口論になり契約破棄になるところだった/口調が強くなる/慣れている仕事を失敗し八つ当たりをした/悪質な意地悪をされた/常に機嫌が悪く、話しかけられない/理不尽なことで必要以上の叱責を受ける

 自分では制御しているつもりでも、なかなか難しいものなのかもしれませんね。またそもそも、月経前症候群だと認知していない人も多いようです。月経前に何らかの精神的・身体的症状を感じている人に対して、「自身をPMSだと認識していたか」という質問をしたところ、「はい」と回答した人は53.4%にとどまりました。さらに症状を感じながらそれに対して「特に対策をとっていない」人は42.3%もいました。

 対策を取っている人の主な取り組みは、以下のようです。


1位・・・安静にする
2位・・・身体を温める
3位・・・気を紛らわせる
4位・・・マッサージをする
5位・・・各症状別の市販薬を飲む








画像のクリックで拡大表示


 社会で働くことと子育ての両立など、女性の活躍に多いに期待が高まっている現在、女性たちの悩みに対して、周囲の理解が必要とされているのかもしれません。


引用元:
月経前に「イライラ」を感じる人は半数以上。家庭や職場でのトラブルとは(日経ウーマンオンライン)