アレルギーの原因になりそうな食物を、乳幼児期にできるだけ食べさせないようにする親は多い。食物アレルギーになるのを防ぎたいと思う親心だが、最近、「食べる時期を遅らせても、予防効果は低い」とする海外の研究結果が相次いで発表された。離乳食として食べさせてもいいのか、国立成育医療研究センター(東京)の大矢幸弘アレルギー科医長に聞いた。 (佐橋大)

 食物アレルギーは、特定の食材を食べた後にじんましんや吐き気などの症状が現れることを指す。日本人の乳幼児の5〜10%にアレルギーがあり、乳幼児期にアレルギーを起こす三大食物は鶏卵、牛乳、小麦。学校給食で死亡した事例もあり、「アレルギーにさせたくない」との親の意識は強まっている。

 大矢医師によると、子どもがアレルギーの原因食材を早くから食べ始めると、食物アレルギーになりやすいというのは、かつては世界共通の考え方だった。厚生労働省が二〇〇七年に定めた授乳・離乳のガイドラインでも「離乳食は生後五、六カ月ごろ、アレルギーの心配の少ないおかゆから始める」と明記している。

 環境省が一〇年度から行っている十万人規模の追跡調査でも、生後六カ月以前に米を食べさせ始めたのは79%に上った一方で、小麦を含む食品は28%、牛乳は9%、鶏卵は10%にすぎなかった。生後九カ月でも、鶏卵は46%、牛乳は53%が与えていなかった。

 ところが、大矢医師は「小さなころから食べさせるとアレルギーになりやすくなるという医学的根拠はない」と指摘。逆に最近は遅らせると、むしろ食物アレルギーが増えるとの報告が多いという。例えば、英国では今年、子ども六百四十人を対象にした調査で、乳幼児期からピーナツを食べ始めた子の方が、五歳までピーナツを控えていた子より、ピーナツアレルギーになりにくいとの研究結果が発表された。

 離乳食開始が遅めになっているのに、アレルギーが増えていることなどから、大矢さんは「食べ始めを遅らせても、アレルギーの予防にならない」とみる。

◆×消化管ではなく ○皮膚から!?
 では、食物アレルギーはどのように起こるのか。

 以前は、消化管から吸収された食品成分が食物アレルギーの原因になると考えられていた。が、最近は炎症により保護機能が低下した皮膚から食物成分が体内に入り込んで、アレルギーを引き起こすとの仮説が有力になっているという。「食物の成分は、ほこりに交じる形で比較的多くあり、皮膚の状態が悪いほど体内に入りやすいと考えられる」と大矢さん。

 アトピー性皮膚炎の生後3カ月の子は、そうでない子に比べ、食物アレルギーの可能性を示す値が高く出る率が6倍になるとの英国の研究結果が昨年報告されている。しかも重症になるほど、その確率は高まった。乳児期に湿疹を経験した子は、食物アレルギーになる危険性が高くなることを示すという。

 「子どものスキンケアをしっかりして、皮膚の保護機能を低下させないよう心掛けて」と呼び掛ける。



引用元:
食物アレルギー 変わる認識 (東京新聞)