平成26年度に県のこども家庭相談センターが対応した児童虐待件数は1567件に上り、5年連続で過去最多となったことが8日、分かった。心理的虐待が大きく増えたことが要因とみられ、前年度から175件増加した。一方、市町村が対応した件数は1889件で前年度から約3%減った。 件数は、県中央こども家庭相談センター(奈良市)と県高田こども家庭相談センター(大和高田市)の総数。県こども家庭課によると、26年度に両センターが対応した心理的虐待は811件となり、前年度より251件増加した。同課の担当者は「児童の目の前で行われた夫婦間のDVも虐待にあたるという意識が浸透し、警察から通告を受けることが多くなったため」と分析している。

 実際、26年度にセンターに寄せられた通告は、警察からが最も多い500件で、前年度の207件から大幅に増加。これまで最多だった市町村からの通告(424件)を逆転した。

 心理的虐待の次に多かったのが身体的虐待で379件。ネグレクト(351件)、性的虐待(26件)が続いた。主な虐待者は実母が全体の半数、実父が2番目に多く、実の親で9割を超えている。

 一方、虐待を受けたのは、就学前の児童が約47%と圧倒的に多い。内訳は0〜3歳未満が17%、3歳から小学校入学前の未就学児が30%、小学生が32%、中学生が13%、高校生が8%だった。

 県は夫婦間のDVについては、未然防止措置に力を入れる方針。若者対象の啓発のほか、警察との連携を強化するとしている。

 また、母親の「密室育児」が孤立感を深め、虐待につながっているとして、家庭訪問支援事業も強化。市町村の家庭訪問員のスキルを上げるため、研修会を開催するなど支援プログラムを作成している。


引用元:
奈良県こども家庭相談センター、児童虐待対応が最多1567件