京都府が2013年度から小中高で始めた「がん教育」の実施校が10日で延べ100校となる。

 がんを患った人と、がんの専門医が2人一組で学校を訪れ、闘病体験やがん予防の知識などを伝える「生命いのちのがん教育推進プロジェクト」。将来を見据えた地道な活動だが、府は「子供の頃から、がんになりにくい生活習慣を身につけてもらい、検診を受ける意識を植えつけたい」としている。

 「私は、たばこも吸わなかったし、酒もほとんど飲まなかった。がんになるわけがないと思っていた。でも、肺がんになった」

 6月23日、京都市立西京高付属中(中京区)。基本知識を説明した府健康対策課の楳村敦詩・医務主幹(消化器内科医)に続いて登壇した府の臨時職員で「がん教育推進メッセンジャー」の松本博志さん(52)は、2年生約120人を前に語り始めた。

 がんは12年10月に受けた検診で見つかったという。当時を思い出しながら、告知を受けてからの複雑な心境を吐露。「実家の母に、どう話せばいいのかわからなかった」と振り返った。

 幸いにも、がんは初期で、手術で取り除くことができた。それでも、再発の不安は残る。最後に、「切り取った肺は元には戻らない。命は一つしかない。今を大切に生きてください」

 府によると、こうした2人一組で行う「がん教育」は全国でも珍しいという。がんの経験者に講演などを行ってもらうため、臨時職員として採用するのも特徴だ。すぐに仕事を再開するのが難しい患者を支援する狙いもある。

 実施校は、13年度が20校、14年度は68校。今年度は5月に3校、6月に7校で行い、今月10日の授業で延べ100校となる予定だ。

 西京高付属中の今井咲希さん(14)は授業後、「親戚をがんで亡くしたが、命の大切さがよくわかった。がんを防げるよう気をつけたい」と話した。

 府健康対策課は「2人に1人はがんになる。早く見つかれば、命が助かる可能性は高い。今後もがん教育を進め、子供たちが大人になった時に、がんになるリスクが低くくなるようにしていきたい」としている。(辻田秀樹)

(2015年7月8日 読売新聞)


引用元:
「2人に1人はがんになる」…予防訴える教育、100校に (ヨミドクター)