早産児は呼吸などの機能が未熟で感染症にかかりやすいほか、乳幼児期の成長が遅いことがある。周囲から「子供が小さい」などと言われて自分を責めたり、発育への不安を抱えたりしながら育児をしている親は多い。一方で早産児を持つ親が相談できる窓口は少ないといい、支援が求められている。(日野稚子)
心ない言葉
東京都内で6月27日、早産の子供を持つ親や医師らが集まり、早産をめぐる現状や必要な支援について話し合った。今年11月の「世界早産児デー」を前に開かれた勉強会だ。
「子供は生まれてすぐに新生児集中治療室(NICU)に入り、その後、別の病気治療のため転院した。半年以上入院していたので早く連れて帰りたかった」。NICUを経験した親でつくる「NICUママネット のびっこ」代表の佐々木綾子さん(38)は、10年前に妊娠24週で長男を出産した経験をこう振り返った。切迫流産の恐れがあり18週で入院。早産だった長男の身長は29センチ、体重は599グラムだった。
退院後も通院が続き、待合室で「小さくて大変ね」と声をかけられるのがつらかった。実父に長男の写真を見せようとしたら「かわいそうで、見られない」と言われ、ショックを受けたことも。
地元の山口県健康福祉センターが主催する「未熟児学級」に参加。周囲に心ない言葉をかけられ、自分と同じような思いをしている人がいることを知り、平成20年にママネットを立ち上げた。早産児を持つ親が前向きに育児に取り組めるよう、情報発信などをしている。
具体的対策を
在胎40週前後の正期に生まれた新生児に比べ、早産児は呼吸などの機能が未熟で、RSウイルス感染症などの呼吸器疾患が重篤化しやすい。また、乳幼児期の成長も遅いことがある。
「江東豊洲 子育て&母乳育児を支援する会」代表で、昭和大学江東豊洲病院(東京都江東区)小児内科教授の水野克己さんによると、欧米の調査研究では、早産児は成長してから学習障害や合併疾患を発症するリスクが高いとの報告がある。音や光などの刺激に早くさらされることで、脳のストレス応答系が過剰反応する結果、学習障害などが起きる可能性が高まると考えられている。また、35週目以降に母体から与えられる脂肪酸や鉄などの栄養が不足してしまう。
「母親のスキンシップが早産による赤ちゃんの脳のストレスを軽減する。栄養面では離乳食の与え方も正期産児と異なる。しかし、こうした知識が母親に伝えられる機会が少ない」と水野さん。「具体的な対策をどう子育てに反映させればいいのか、医療機関や保健師による健康指導などできめ細やかに支援すべきだ」と指摘する。
早産といっても、生まれた週数や体の大きさで成育に差があり、親が抱える悩みも多様だ。早産児への保健指導は市町村など自治体が実施しているが、地域差が大きく、佐々木さんらは「早産児が抱えるリスクなどについて専門知識を持つ保健師の拡充が必要」と訴えている。
■約1割が2500グラム未満
人口動態統計によると、出生体重が2500グラムに満たない低出生体重児の割合は、平成17年以降、新生児全体の1割程度で推移する。このうち1500グラム未満の「極低出生体重児」は12年以降、年間8000人前後と横バイだ。低出生体重児は10代と40歳以上の母親で多い傾向だが、妊娠高血圧症候群や前置胎盤、胎児の病気などのため早産を選択せざるを得ない人もいる。
37週未満で生まれると早産児、34週から37週未満は後期早産児といわれる。
引用元:
早産の子供を持つ親…少ない相談窓口 前向きな育児へ支援必要(SankeiBiz)