子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に痛みや運動機能障害などの報告が相次いでいる問題で、体内の免疫システムに関わる特定の遺伝子が症状の出やすさに関連している可能性があることが、厚生労働省研究班(代表・池田修一信州大教授)の分析で分かった。
検査した患者の9割以上で「白血球の血液型」とも言われる「HLA(ヒト白血球型抗原)型」が一致していた。HLA型は抗原を作る遺伝子の配列の違いで決まり、患者に多かった型は日本人全体では4〜5割にとどまる。研究班は今後、検査人数を増やして発症のメカニズムの解明を目指す。
子宮頸がんワクチンは、昨年3月までに推計338万人が接種を受け、国に約2500件の副作用報告が寄せられている。国は2013年6月から接種の呼び掛けを中止しているが、どういった場合に症状が出るのかは分かっていない。
厚労省研究班に加わる鹿児島大のグループは、接種後に手足の痛みや記憶障害などが出た12〜19歳の少女12人の血液を採り、HLA型を調べた。その結果、「HLA−DPB1」と呼ばれる遺伝子が「0501」という型だった患者が11人(92%)に上り、免疫異常による脳炎などを起こしていた。「0501」は日本人に最も多い型だが、全体では4〜5割とされ、グループは5月の日本神経学会学術大会で「HLA型が副作用に関連している可能性がある」と報告した。
これを受け、研究班は今夏にも信州大病院を受診した約90人を対象に、症状とHLA型に関する臨床研究を行い、同世代の少女の集団との比較なども検討する。池田教授は「症状を起こす仕組みを解明し、治療につなげたい」と話す。
子宮頸がんワクチン接種後の体調悪化について、厚労省の有識者検討会は昨年1月、「接種時の痛みや不安が身体の不調として表れた『心身の反応』」との見解をまとめた。これに対し、免疫機能に働くワクチンの成分や免疫増強剤に原因があると主張する医師らもいる。【斎藤広子】
◇HLA
ほぼすべての細胞の表面にあるたんぱく質で、ヒトの免疫システムが自分の体と外からの侵入者を見分け、外敵を攻撃するための目印の役割を果たす。HLAを構成する遺伝子は「HLA−A」「HLA−DQB1」など複数あり、それぞれのHLA型は、糖尿病やベーチェット病、川崎病などさまざまな病気のなりやすさと関わることが分かっている。HLA型は血液検査をすれば分かる。
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引用元:
子宮頸がん:ワクチン接種後の障害 免疫遺伝子が関与(毎日新聞)