私は、男性不妊症の患者さんを診察する機会が多いですが、明らかに女性への治療と比べて遅れていると感じることが少なくありません。治療への方法が少なく、限られているのです。


(本文と写真は関係ありません) たとえば、女性は、さまざまなホルモン療法を用いて排卵誘発をすることにより、より多くの卵子を作ることができます(治療目的でも卵子を多く作らないほうがいい場合もあります。これは、担当のドクターと相談してください)。しかし、男性にはそのようなオプションが限られているのが現状です。

 なぜでしょうか?

 答えは、どんな男性患者が対象になるかや、どんなホルモンがターゲットとなるかが、はっきりしていないからです。しかし、徐々に研究は進んできているようです。

 たとえば、無精子症患者の原因の一つとして、クラインフェルター症候群があります。生まれつき性染色体Xを1本多く持っていることが原因であり、多くの場合、無精子症となります。

 ですが精子の問題以外は、ほとんど一般的な男性と変わりがないため、診断されぬまま成長し、不妊症をきっかけに検査をして判明する場合がほとんどです。男性の500人に1人ほどがクラインフェルター症候群であると言われています。東京ドームで野球の試合があって、4万人の観客が観戦していたとしたら、半分の2万人が男性として、その中の40人はクラインフェルター症候群ということになるわけです。となると、決して珍しい状態ではないのです。

 先日のアメリカ泌尿器科学会でも、精液の中に精子のない無精子症のクラインフェルター症候群の方に、精巣から精子を取り出す手術前に、ホルモン療法をすることで精子が取り出せる可能性が上昇するかもしれない、といった発表がありました。

 なお、クラインフェルター症候群の患者さんから取り出せる精子は、染色体の問題はありません。体外受精を用いることで、お子さんを得ることができるチャンスがあるのです。

 今後、男性へのホルモン療法もさまざまなものが開発されていく可能性があるのです。少しでも多くの患者さんがお子さんを持てるチャンスを得ることができればいいと願っています。



引用元:
女性には排卵誘発 男性には? (YomiDr.)