◆子宮頸がん、重症目立つ

 子宮頸(けい)がんを予防するワクチンを接種後に手足の痛みや学力低下などの症状を訴える人が相次いだ問題で、中部九県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀、静岡、石川、富山)で少なくとも百三十五件の副作用が報告されていることが分かった。

 国が各県に連絡した医療機関からの報告件数を本紙がまとめた。副作用は、医療機関から国に報告されるほか、ワクチンを製造する製薬会社からも国に報告されており、実際にはさらに膨らむとみられる。

 県別では愛知が四十件で最多。静岡は二十一件だが、重症者の割合が七割超の十五件にも上り、三割前後の他県を大きく上回った。

 厚生労働省が昨年三月末時点でまとめた医療機関と製薬会社からの報告総数は二千四百七十五件。うち医療機関は千五百五十四件で、当時の件数と比較しても中部九県は一割に満たない。九県の人口は全国の17%を占めており、地域や医療機関によって報告するか否かの判断に偏りがある可能性がある。無料でワクチンを接種した可能性がある世代の女性約七万人の実態調査を九月から予定する名古屋市の担当者は「打った直後に症状が出るとは限らず、本人も医師も副作用の可能性に気付かない例もあるかもしれない」と話す。

 子宮頸がんワクチンは、二〇一〇年度に国が助成を始め、一三年四月に定期接種となったが、副作用報告が相次ぎ二カ月後に積極的な勧奨を中止した。

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 静岡市は一日、子宮頸がんワクチンを接種した人に健康状態を尋ねるアンケートを開始した。ただ、静岡県疾病対策課によると、このワクチンの副作用について、県内ではまだ具体的な支援の動きはない。浜松市は、今のところ緊急を要するケースがないため救済策は検討していないという。



引用元:
ワクチン副作用 県内21件(中日新聞‎ )