さて、今回は当センターの不妊治療の特徴として「子宮鏡検査」についてお話ししましょう。

私どもは、この検査を積極的に行っています。この検査は、超音波検査で子宮内の突出物があることが疑われる方や、そうでなくてもタイミングや人工授精を行ってもなかなか妊娠しない方に積極的に行っています。

子宮内の異常が見つかり、これを取り除くことで妊娠される方が多くいます。子宮内は受精卵が着床(子宮内膜壁に受精卵が付き、発育を開始すること)する場所ですので、ここに異物があると受精卵の着床が妨げられることがあるので、この子宮内腔を直接観察することはとても大切な検査です。

子宮鏡検査は膣から細い柔軟な管の鏡(ファイバースコープ)を入れて、子宮の中を観察する検査です。この検査は、外来で15分ぐらいかかります。子宮卵管造影検査と比較して、それほど痛くありません。

検査日は、月経が終わった直後あたりの、まだ、子宮内膜が発育していない時期になります。排卵近くの時期では内膜が発育してきて、異常を隠してしまう場合があるからです。

この検査で、子宮内腔に突出したポリープや筋腫が見つかることや、突出してはいなくても子宮筋腫が内膜に一部現れるぐらいになっていることもあるので、これらの状況について検査します。また、以前の妊娠で流産となり、子宮内をきれいにする手術をした方では、子宮内腔が癒着している方もおられるので、積極的に検査します。

帝王切開で出産された方の中には、子宮の創部(傷の跡)が少し開き気味のことや、そこに水分がたまりやすくなって、妊娠しにくい方もいるので、積極的に検査します。

最近は子宮などの手術では、手術の後しばらくすると溶ける糸で縫合することが多いのですが、溶けない糸で縫合することがまれにあり、この糸が子宮腔内に突出して、着床を阻害していた患者さんを経験したことがあります。このような経験があるので、タイミングや人工授精で妊娠してもよい方が、なかなか妊娠しない場合は、積極的に子宮鏡の検査を行っています。

この検査でポリープなどの異物が見つかった場合は、別の時期に入院していただき、麻酔をしたうえで手術のための子宮鏡(硬性鏡)を使い、この異物を削りながら取り除いています。これだけが不妊原因の方は、手術後、しばらく自然経過をみると自然に妊娠される方が多くいます。

みなさんも、なかなか妊娠しない場合は、一度、子宮鏡で子宮内を検査することをおすすめします。


引用元:
《49》 国立成育医療研究センターの不妊治療の特徴B