今回はがんとウイルスについての話です。

 がんといえば、飲酒・たばこ・遺伝などによりリスクが上昇するといわれています。がんの種類にもよりますが、リスクが上昇することについては異論がありません。

 また、がんには感染症との関連が指摘されているものもあります。がんとウイルスとの関連では、C型肝炎ウイルスの長期感染と肝臓がんのリスク上昇が知られています。ウイルスではありませんが、胃がんとピロリ菌の関連もここ数年の話題ですね。

 さて婦人科の病気についてです。子宮がんの中でも子宮頚(けい)がんは、特殊な型を除いてヒトパピローマウイルスが原因であることがわかっています。このウイルスは主に性行為で感染するものであり、究極の子宮頚がん予防は性行為をしないことかもしれません。しかし、生きている限りそうはいきません。

 ヒトパピローマウイルスに感染しても、自己の免疫力で排除できたり、感染したまま共存してがんにならない方もいます。むしろ感染してもがんになる方はごく一部です。現在のところどうすればがんにならないかは正確にはわかりません。清潔にしたらどうか、食事や薬で治らないのか、という質問を外来で時々受けますが、食事や薬で根拠のあるものはわかっていません。陰部には自浄作用といって、自分でバランスをとっている常在菌もたくさんいますので、洗い過ぎるのはむしろ逆効果です。

 数年前から、性交歴のない若年者に公費あるいは自費で子宮頚がんワクチンを接種するという医療行為が始まりました。しかし、最近では、ワクチンの副作用・副効用が報道され、一時期より希望される方も激減しています。

 子宮頚がんはいきなり発症することはほとんどなく、正常から異形成という過渡期を介してがんになると考えられています。私たちにできることは、将来の子宮頚がんになるリスクが高い方を異形成の時期に発見して、がんになる前に治療したり、子宮が温存できるようにすることです。そのために定期的な婦人科検診は不可欠です。

 日常生活では、できる限り免疫力を減らさないように、食生活や睡眠などの生活の質を高めたり、前向きに生きることが重要かもしれません。

 ■濱井葉子先生(はまい・ようこ) 産婦人科医。医学博士。三重県出身。三重大学医学部卒業。東京大学産科婦人科学教室にて研修後、同大学院修了。現在は東京警察病院産婦人科副部長。協力・カロスエンターテイメント。



引用元:
【女医ドル】子宮頸がん、定期検診と免疫力強化で予防を (ZAKZAK)