「粘液性卵巣がん」というタイプの卵巣がんの危険度を高める遺伝子変異が初めて発見された。
早めに見つかると助かりやすいタイプで、遺伝子変異であらかじめ危険を察知できれば、対策が打てるので意味は大きい。
米国、オーストラリアなどの国際研究グループが、遺伝学の有力医学誌であるネーチャー・ジェネティクス誌オンライン版に2015年6月15日に報告した。
生存率の低さは問題に
研究グループは、卵巣がんについて、米国の女性では4番目に多いがん、世界では7番目に多いがんと説明する。
2015年には卵巣がんで亡くなる米国人女性は1万4千人に上るという。
生存率の低さは問題だ。
原因としては、症状を見誤ることや、あまり治療できないステージまで発見が遅れることが考えられる。
早めに発見されると良好
「粘液性卵巣がん」は卵巣がんの中でもまれな種類で、卵巣の中に文字通り、粘液がたまったようになるのが特徴となる。早めに発見されればその後は良好。後期に発見されると治療がうまく行かない。
研究グループは、粘液性卵巣がんと診断を受けた女性1644人と、卵巣がんではない女性2万1千人を対象として遺伝情報の全体を解析。
卵巣がんの危険性に関係した突然変異を調べている。
遺伝子の突然変異を調べる
遺伝子の突然変異は、人間の遺伝情報を保っている「ゲノムDNA」のパターンと関係するものだ。
ゲノムDNAは、30億もの「塩基」と呼ばれる物質が連なってできている。アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類が塩基で、この4種の文字の並びによって遺伝情報は保たれる。
ゲノム研究により、この文字列の一部が変化して、病気のなりやすさや体質が変化すると分かっている。
まれな変化は遺伝子の突然変異といわれており、ごく一般的に起こってくる変化については「一塩基多型(SNP、スニップ)」と呼ばれる。
変化した場所については、いわば番地が付いており、「rs」と「通し番号」の組み合わせで分類されている。
3つの変化が関連と特定
結果として3つの新たなリスク上昇に関係した変異が分かった。
がんの人では「rs752590」「rs711830」「rs688187」という場所が変化していたのだ。遺伝情報を収めるDNAは23対の染色体から成り立っている。今回の変化は2番目と19番目の染色体に変化が起きていた。
それぞれの場所で変化が起こると、「HOXD9」あるいは「PAX8」というタンパク質の働きに影響を及ぼしていたい。HOXD9が過剰に働くと、粘液性卵巣がんにつながると見られた。
研究グループによると、遺伝子のスイッチをオンやオフにするHOXD9という遺伝子が、粘液性卵巣がんの発症を突き止める手掛かりになるかもしれない。
診断が遅れる前にこうした遺伝子の変異を特定できれば、予防策を受けることになる。
引用元:
「粘液性卵巣がん」初の遺伝子変異を発見、危険を高める関連を特定、早めに分かると助かりやすいタイプ(Medエッジ)