性感染症としてよく知られている「クラミジア感染症」にワクチンが実現するかもしれない。

 米国のハーバード大学の研究グループが、有力科学誌サイエンス誌に2015年6月19日に報告した。

症状がないのに不妊の原因

 クラミジアは、一般的な性感染症。毎年1億人以上が感染している。不妊および子宮外妊娠の原因にもなるほか、クラミジア感染症は失明の原因にもなると知られている(淋病とクラミジア、女性の感染が見過ごされている、米国研究グループの報告より)。

 クラミジア感染は炎症を起こして、粘膜の表面、まぶた、子宮、卵管に傷をつける。

 細菌を持つほとんどの人は症状がないため気付きもしないのが問題になる。

 クラミジアを持つ女性はHIVを含む他の性感染症に感染しやすくなるとも知られている。

ワクチンは難関だった

 クラミジアに対するワクチンの必要性はかねてあったものの、難関だったようだ。

 1960年代以降、途絶えていたようだ。死んだクラミジアを使って、体の抵抗力につながる免疫を強める方法を試みたところ、逆にワクチンを受けた人を感染しやすくなるという失敗があったためという。

病原体とナノ粒子

 研究グループは、活動性を失ったクラミジアの病原体と、電気の力で免疫力を強化する粒子を付けるというアイデアを作り出した。

 病原体はマイナスの電気を持っており、ここにプラスの電気を持つ「cSAPs(電荷スイッチング合成補助剤ナノ粒子)」という球体をくっつける。

 その結合したものを、鼻の奥のような粘膜から浸透させて、リンパ節に移動させる。続いて、体の持っている、異物を察知して、攻撃対象として定める役割を持つ「抗原提示免疫細胞」と呼ばれる細胞に取り込まれる。

 ナノ粒子の中の成分によって、免疫力を強力にして、攻撃を担う「T細胞」が病原体をターゲットにできるようにする。

二手に分かれる

 T細胞の集合は二手に分かれて防御の役割を担うと説明する。リンパ節から子宮に移動する流れと、血液を循環する流れに分かれる。

 病原体を子宮で守り、さらに血流で運ばれる免疫の機能でも攻撃をできるという形になる。

 厄介なクラミジアを撃退する有効打になるかもしれない。


引用元:
クラミジア感染症にワクチンが実現か、性感染症の予防に朗報、米国ハーバード大学の報告(Medエッジ)