毎日新聞で以下のような記事が掲載されていました。
安倍政権の「女性活躍」政策で、政府が新たに策定する「女性活躍推進のための重点方針2015」の概要が23日分かった。妊娠や出産をきっかけに職場で嫌がらせを受ける「マタニティーハラスメント」(マタハラ)を防止する法整備を来年の通常国会で検討することや、ワーク・ライフ・バランスの先進企業を公共調達で優遇する仕組みの検討を明記した。各府省の概算要求に盛り込み、来年度予算案に反映させる。
私の会社には産休に入っているスタッフが一名います。私の妻も現在は産休に入っています。
この産休という制度は、ひらたく言ってしまえば会社をお休みして家事、育児に集中しても、国が給料の一部を支給してくれるという非常にありがたい制度。
社会保険に加入していると受給できるわけですが、保険料は会社が半分、本人が半分負担の割合になっています。産休中に関しては、本人も会社も保険料を負担しなくてよいため、女性スタッフが産休に入ったとしても会社は直接的な負担をするわけではない。
だったら、何故マタハラなんてことが発生するのか? 是非一度会社視点で考えてもらたいと思います。
会社は営利団体です。国が運営しているわけでも、聖人君子が運営しているわけでもありません。お金儲けしたい人が作る団体なわけです。
一人のスタッフが妊娠したとして、産休に入る。大きな会社であれば、色々な部署から移動してパズルみたいに調整すれば、生産性が減る一人分の負担を色々な人に割り当てて人を増やすことなく調整することが可能です。
ですが、一人一人が会社の大きな歯車となる中小企業であればどうでしょう? 一人スタッフが減ってしまうと日常業務が回らなくなるので、もう一人採用しなければならない。ところが産休からスタッフが戻ってくると、もう一人分の人件費は捻出できない、戻ってきたところで割り当てる仕事がない、などの問題が発生します。
または、戻ってくると信じて産休に入れたのに、子育てに集中したいという理由で戻ってこない、ということもあります。
だから小さな会社ほど、スタッフが妊娠する→マタハラが発生しやすいものだと私は分析しています。
ところで私の会社は小さな小さなオートバイのパーツメーカー。パートスタッフを合わせても従業員12名ほどの会社です。パートスタッフも正社員スタッフも会社の大きな歯車として、活躍してくれています。
そんな私の会社で、何故マタハラを起こすことなく、女性スタッフは産休に入ることができたのかと言えば、「彼女がとても優秀だったから」の一言に尽きると思います。
中小企業にとって優秀な人材を確保するのは非常に大事です。たとえ産休期間中に他のスタッフの労力が増えたとしても、産休に入れた方が良いという結論を出せるのです。
ちなみに私の会社が円滑に一人のスタッフを産休に入れることができた要因としてもう一つ挙げるとすれば、「女性スタッフが多かったから」という点もあります。出産育児に理解のあるスタッフが多かったため、比較的話を通しやすかったという要因があります。
産休に入れるという決断を下す前にはスタッフ一人一人を呼び出して、「一人の女性社員を産休に入れたいが、会社は産休期間中にスタッフの補充はできない。その為、一人一人の仕事の負担は大きくなる」ということをしっかりと伝え、理解してもらったうえで一人のスタッフを産休に入れることができました。
パートで入っている主婦スタッフは、以前は短い時間しか入っていませんでしたが、今は午前中から夕方まで比較的長い時間シフトに入り、産休中のスタッフの穴を埋めてくれています。
どうでしょうか? 中小企業にとって一人のスタッフを産休に入れるというのはとても大きなことです。会社の理解だけでなく、他のスタッフの理解も必要になります。
政府がいくらガイドラインを作ったからと言って、簡単にそれにそった会社運営などできないのです。
女性は、私たち男性にはない視点を持っていて、思いもよらない成果を上げてくれることがあります。
まずは自分自身が会社にきちんと利益を出せる存在であるとアピールできること、自信を持つことが大事です。自信を持つ為には実績とスキル。権利を主張するだけでは何も変わらないのです。
毎日新聞の記事の中で以下のような一文もありました。
男性が多い研究職などの「理工系人材」でも、国や民間企業、大学などの研究機関が連携し、女性の人材育成を後押しする
そう、これですよ! スキルを持った女性は企業も手放せないんです。
企業を規則で縛るのではなく、一人のスタッフを産休に入れたほうが会社にとて利益がある状態を作ることがマタハラをゼロにする唯一の方法だと私は考えます。
(相京雅行)
引用元:
彼女が産休に入れた理由と、あなたがマタハラを受ける理由