新生児の視覚的注意のさまざまなパターンが、その後の小児期の気質と行動の差異と関連している可能性のあることを示唆する論文が、今週掲載される。この知見は、小児期に発生する行動障害の一因が、すでに出生後数日以内に存在している行動である可能性を示しているが、確かな結論を出すためにもっと詳細な研究を行う必要がある。

最近行われた生後4〜10か月の乳児の研究で、刺激を固視する能力の向上が、行動の制御力向上、そして、落ち着きのなさ、多動性、不注意といった行動特徴の改善と関連していることが明らかになった。今回の共同研究では、こうした行動の個人差と視覚的注意の関連性が、生後のもっと早い時期に明白になっている可能性が示された。今回の研究では、生後1〜4日の新生児(80人)を対象として停留時間(個別の刺激を注視している時間)の測定が行われ、その後、その新生児が5〜9歳になった時の行動と気質に関する質問票を親に記入させ、その解析が行われた。

ただ、今回の研究には、視覚的注意の測定方法などの制約のあることが著者によって指摘されている。つまり、視覚的注意を測定するために停留時間の評価という手法が用いられたのは、新生児の固視を測定するのが難しいからだ。また、分解能の高い測定を行うことで、著者が同定した関連性の解析を改善できる可能性のあることも指摘されている。さらに、子の行動と気質に関する質問票に対する親の回答内容に一部偏りが生じている可能性があるが、この点については、さまざまな行動の測定値を集めることで対応できると著者は考えている。


引用元:
【行動】小児期の気質を新生児の段階で予測できるか(natureasia.com)