.


 所沢市の保育園児の保護者11人が25日、市に対して退園の差し止めを求めた訴訟では、第2子以降の育児休業中に在園児の扱いをどうするかが各自治体の裁量に委ねられていることに焦点が当たった。県内の市町村でも扱いにはばらつきがあり、自治体の担当者からは「これを機に『子ども・子育て支援法施行規則』運用に関する議論が尽くされれば」と期待する声も聞かれた。(菅野真沙美、川峯千尋)

 ◆「職場復帰前提」

 さいたま市、入間市、坂戸市などでは、保護者が育休を取得した場合にも一定の条件下で通園の継続が可能とされている。通園可能な期間は、さいたま市は「満1歳の誕生日を迎える年度末まで」、入間市は「1歳になった月末まで」、坂戸市は「1歳の誕生日の前日まで」。

 さいたま市保育課は「保護者の再入園手続の負担や、環境の変化による子供たちへの影響に配慮している」と話す。

 戸田市や草加市、秩父市などでは、育休を取得した場合でも保護者の希望があれば通園を継続させる。草加市保育課は4月からの「子ども・子育て支援新制度」開始前から同様の対応をしており、「育休を取る保護者は職場復帰が前提の方が多いので、このような制度運用を行っている」と説明している。

 ◆複雑な思い

 一方、「下の子供の育休を取得すれば0〜2歳の園児は原則退園」という運用を始めた所沢市。看護師の仕事を続けながら1歳と3歳の男児を保育園に預けている同市の女性(38)は、「保育園にいればママ友達に悩み相談したりできるけれど、退園後に同じ保育園に戻れる保証もないし、つながりもなくなってしまうのは不安」と話す。会社員の女性(32)は「出産で会社の風当たりが強い上に、市も母親の味方をしてくれない。女性の社会進出どころか、少子化を進めるだけの政策だと思う」と憤った。

 これに対し、ある市の保育行政担当者は「訴えを起した保護者の考えは理解できる」とした上で、「希望する園に入れない待機児童の保護者の実情を知っているので、複雑な思いを抱く職員がいるのは事実だ」とし、「この機会に運用に関する議論が尽くされればいい。今回の訴訟には大変注目している」と話した。


引用元:
所沢育休訴訟 在園児の扱い「議論を」 「継続」×「1歳」ばらつき(産経新聞)