妊娠や出産に伴い、職場で嫌がらせや不利益な扱いを受ける「マタニティーハラスメント(マタハラ)」をめぐる相談が県内でも相次いでいる。最高裁が「妊娠を理由にした降格は、男女雇用機会均等法に違反する」との初判断を示すなど、社会的関心の高まりも背景にあるとみられる。

 神奈川労働局雇用均等室によると、2014年度に寄せられた同法に関連する相談件数全体は前年度比2増の782件でほぼ横ばい。女性労働者からの相談は307件で、そのうち妊娠・出産を理由とする不利益な取り扱いに関するものは10増の131件、母性健康管理に関するものは9減の52件で、合わせて約6割を占めている。

 紛争解決の援助申し立て事例としては、派遣労働者が産休や育休の取得を申し出たところ、雇用契約を更新しないと通告されたケースなどがあったという。

 マタハラの背景について、同室は▽関係法令や制度について労使とも理解不十分▽妊娠・出産、子育てにより会社への貢献度が一時的に下がる労働者の処遇について会社側にノウハウがない−といった要因があると推測。関連した相談は全国的に増加傾向といい、「小さなすれ違いから労使トラブルに発展するケースが後を絶たない。非正規雇用者も男女雇用機会均等法や育児・介護休業法が適用されることを一層周知したい」としている。

 最高裁が昨年10月に示した均等法についての初判断を受け、厚生労働省は今年1月、均等法・休業法双方の解釈をめぐる通達を改正。「妊娠・出産、育児休業等を契機とした不利益な取り扱い」との表現を加えた。

引用元:
「マタハラ」相談相次ぐ 社会的高まりが背景(カナロコ by 神奈川新聞)