出産経験のある女性の多くは妊娠中の痔を経験しています。しかし、なかなか相談しにくい内容のため「自分だけでは?」と不安になることもあります。痔は妊娠中に生じやすく、多くの妊婦さんを悩ませているものです。どの産婦人科の病院へ行っても、妊婦さんの痔の悩みは十分に想定されており、適切に対応してくれます。担当の医師に気軽に相談してください。
◆もっとも多いのは「いぼ痔」
痔には、痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、痔瘻(じろう)の3種類があります。もっとも多いのは痔核で、できる場所によって内痔核、外痔核に分類されます。一般的にいぼ痔といわれているのは内痔核にあたります。
いぼ痔というと、「いぼが外側に出てきている」というイメージがありますが、外側に出てきた内痔核はかなり進行した段階といえます。内痔核は歯状線といわれる部位より奥にできますが、歯状線は肛門よりも1cm以上奥にあります。痔核が肛門から出ているということは、1cmの距離を超えられる大きさになっていることを意味します。多くの場合、内痔核は痛みのないまま内側で大きくなり、やがて外側に出てきます。内痔核は次の4段階に分類されています。
1段階:排便時に出血するが、脱出しない
2段階:排便時にだけ脱出するが、自然に戻る
3段階:排便時に脱出し、指で押さないと戻らない
4段階:排便時以外にも脱出している
◆なぜ、妊娠中は痔になりやすいのか
痔になる大きな原因は便秘です。そして、妊娠中は便秘になりやすい条件がそろっています。
・妊娠中は運動不足になりやすい
・妊娠中に増える黄体ホルモンの影響で、腸の働きを鈍くなる
・子宮が大きくなると腸を圧迫する
・子宮が大きくなると静脈がうっ血しやすく、痔核(いぼ痔)もできやすい
◆便秘にならない生活習慣を
妊娠中の痔を防ぐには、便秘につながる生活習慣を見直す必要があります。まず、腸内環境を調えるヨーグルト、食物繊維が豊富な野菜やフルーツといった、できるだけ便通に良い食事を心がけます。
冷えを防ぎ、安定期に入ったら散歩やマタニティヨガなどの運動を取り入れます。排便をがまんしないようにしましょう。また、トイレに長時間座るのも避け、座っている時間が5分を超えないよう注意してください。
◆妊娠中の手術は可能?
できるだけ薬を用いた保存療法で改善を目指します。どうしても手術が必要な場合は安定期(5か月〜8か月)に行うようにします。
結婚、妊娠、出産といったライフイベントは、痔の治療を難しくします。妊娠中は、手術をともなうような治療はできれば避けたいものです。かといって出産後は育児が大変で、痔の治療に時間を使うのは難しいでしょう。もっとも多い内痔核(いぼ痔)は時間をかけて進行します。初期の段階で「痔かもしれない」と気づいたら、後から悪くなって困らないように、妊娠前または結婚前に治療を進めておくとよいでしょう。
<参考>
妊産婦の痔Q&A(くるめ病院)
http://www.uproad.ne.jp/kurume/shinnryou/ninnpu.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
.
Mocosuku編集部
引用元:
私だけじゃなかった!妊娠中の痔(Mocosuku Woman)