南米チリ中部の病院で、92歳の女性の腹部に胎児の遺体が残っているのが発見されたと話題になっています。転倒した女性がX線検査を受けたところ、お腹のなかに成長した胎児の骨格が見つかったと言います。医師は通常の医学では説明がつかないとしながらも、「子宮外妊娠」ではないかとみています。
「以前はお腹に痛みがあったけど、時間とともに耐えられるようになった」と話している92歳の女性。通常では考えられない事態です。一般的に「子宮外妊娠」にはどのような症状があるのでしょうか?


◆そもそも…子宮外妊娠って?
受精卵が子宮内膜に着床するところ、子宮内膜以外の場所に着床してしまう状態を「子宮外妊娠」と言います。通常であれば、妊娠5〜6週目あたりからエコー検査で赤ちゃんをいれる袋である胎嚢(たいのう)や、胎芽(たいが)を見ることができます。子宮外妊娠では、受精卵が子宮内膜以外の場所に着床してしまうため、検査をしても赤ちゃんを確認することができないことがあります。
そして、子宮外妊娠のほとんどの場合が卵管に着床してしまうため、受精卵は育つことができず、卵管流産や卵管破裂を起こします。今の医学では子宮外妊娠で出産できることはなく、気づかないまま放っておくと卵管破裂による出血性ショックにより妊婦が死亡することもあります。


◆どんな症状がみられるの?
子宮外妊娠であっても妊娠反応は表れるため、妊娠検査薬を使えば通常通り陽性反応が出ます。正常妊娠との区別がつきにくい子宮外妊娠。いったいどのような症状がみられるのでしょうか?

・生理がこない
子宮外妊娠は、妊娠している状態と同じのため生理がくることはありません。月経がこない場合は子宮外妊娠の可能性があります。とはいえ、通常妊娠の場合も生理がこないため、この段階で子宮外妊娠だと気づくことは稀のようです。

・おりものや不正出血が続く
子宮外妊娠の場合、少量出血が見られることがあります。また、出血だけでなく血の混ざったおりものが継続的に続く人もいます。出血量が多くないため、妊娠初期にみられる少量出血だと勘違いする人も多いようです。一方で、子宮外妊娠の人のなかでも不正出血がない人もいるため、出血がないからといって安心できるわけではありません。

・下腹部に痛みを感じる
子宮外妊娠のうちの9割以上が実感するのが、下腹部の痛みです。はじめは軽い痛みですが、子宮外に着床した受精卵の成長とともに、強い痛みに変化します。お腹が張るようなキリキリした痛みを感じ、継続的に続きます。
また、子宮外妊娠であってもつわりの症状が見られることもありますが、通常妊娠の場合のつわりと比べ、やや軽い症状でおさまるケースが多いです。


◆子宮外妊娠は早期発見が大切!
子宮外妊娠の場合、早いうちに摘出しなければ卵管が破裂し、出血多量でショックを引き起こす可能性があります。「月経がこない」「妊娠したけれど腹部の痛みが続いている」など、少しでも違和感を覚えた場合は、早急に診療してもらいましょう。

参考:朝日新聞デジタル(http://www.asahi.com/articles/ASH6Q2Q9SH6QUHBI00S.html)
監修:坂元忍(医師)
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Mocosuku編集部


引用元:
92歳女性の腹部に胎児の遺体。早期発見が重要な「子宮外妊娠」の症状って?(Mocosuku Woman)