妊産婦の健康や子どもの成長を一冊にまとめて記録する日本独特の母子手帳が、世界各国に評価され、利用が広がっている。戦後間もなく日本で配布が始まり、約七十年を経て三十カ国以上に普及した。国際協力機構(JICA)は「国際プロジェクト化」も視野に入れ、世界保健機関(WHO)と連携して一層の浸透を図る構えだ。


 開発途上国の保健向上を目指すNPO法人「HANDS」が今年三月、母子手帳に類似した健康記録の有無を集計したところ、計三十四カ国・地域での利用を確認した。タイやインドネシア、米国ユタ州のほか、一部地域で試験的に採用されたウガンダなど、東南アジアとアフリカを中心に欧米諸国にも広がっている。


 導入が早かったのはタイだ。自国に適した形にアレンジした手帳を一九八五年に作成し、八八年には全国に普及させた。インドネシアでは、同国の医師が日本での研修で母子手帳の存在を知り、採用の旗振り役になった。近年は福田康夫元首相夫人の貴代子さんが中国で利点を説明するなど、著名人や民間団体が後押ししている。国際保健に詳しい東大の神馬征峰(じんばまさみね)教授は「アフリカなどでは、妊産婦健診の重要性を伝え、母親の行動を変えるツールとして役立つ」と強調する。


 JICAは現在、貧困層が多いフィリピンの山岳地で普及計画を進めている。


引用元:
「日本発」母子手帳 30カ国超に普及(東京新聞)